第二者監査

システムの成熟スピードを速める二者監査

lrqaaudit先月、世界規模で事業を展開している企業の二者監査を見ることができました。その企業は、ISO認証機関に二者監査の代行を依頼しています。

私が見た二者監査は、5日間にわたって実施されたコンプライアンス監査(顧客側の基準をサプライヤーが遵守しているかをチェックする監査)で、審査員にぴったりと密着して取材させてもらいました。この基準は、品質・環境・労働安全衛生などを包含したマネジメントシステムがベースになっており、環境・安全面では日本の法規制と同等かそれ以上の基準値が要求されています。

 

審査員はマニュアル、手順書、記録などをチェックし、現場では文書化された決め事が きちんと実施されているかを確認します。その作業を繰り返す中で、基準に適合していないところがポロポロと出てきます。そのサプライヤーは、この2年間で ISO 9001/14001、OHSAS 18001の認証を取得した企業なのですが、是正すべきところが修正で終わっていたり、原因追及が行われないままになっていたり、会社での決め事が現場で 実施されていなかったりなど、問題点がどんどん出てきました。

監査初日には、顧客側の監査担当者もオブザーバーとして参加していました。彼は、指摘をどんどん出していく審査員の横で、「この会社はISO 9001の審査を受けているんだよね。いったい前回のISO審査で何を見ていたのだろう」と不満を漏らしていました。

私は監査の様子を横で見ていて、「このようなコンプライアンス監査を5日間も受けていると、ISOの審査を受けているだけの企業よりも、システムの成熟ス ピードが速くなるだろうな」と思いました。代行とはいえ、二者監査なので指摘がバンバン出てきますし、是正処置報告書は顧客が直接チェックしますから、甘 い対応だと許してもらえません。受審を一種のトレーニングと考えるなら、この企業はコンプライアンス監査で、通常の倍以上のトレーニングを受けたことにな るのではないでしょうか。

この会社の規模ですと、ISO審査は、サーベイランスで審査員1人×2日間の工数になるそうです。日数について、社員の人に聞いてみました。
「2日間のISO審査と5日間のコンプライアンス監査、受審日数が3日増えると、やはり違いますか?」
「違いますね。月曜日から金曜日までの5日間というのは、仕事面ではまる1週間と同じです。1週間あれば、途中で必ず廃棄物を出す日がありますし、資材が入ってくる日もあります。仕事のあらゆる面が出てきますので、もう隠しようがなく、すべてを見られてしまうわけです」

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コメント

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  • コメント (5)

    • イソハドーグ
    • 2010年 6月 04日

    その顧客企業が、代行審査員に同様な審査をすると、
    こりゃまた、不適合が出てきちゃったりするんでしょうねぇ。

    • 中尾優作
    • 2010年 6月 04日

    ご明察です。
    顧客側の監査担当は、監査初日とかは、べったり張り付いて代行審査員の審査をみています。そして、休憩時間やその日の審査が終わってから、「ここは良い指摘だったと思う」「この部分はもっと突っ込んで欲しかった」「この点はきちんと指摘して、不適合とするべきです」とか、監査担当は代行審査員に注意や要望、そして激励を述べます。注意の仕方などは、かなり厳しかったですね。
    また、実際の監査に赴く前に、代行審査員は、顧客側の監査担当から数日間の研修を受けます。この研修は、顧客側の要求事項をしっかりと理解してもらうことが目的です。代行審査員のデキが良くないと、別の審査員に変えます。
    こんなことを書くと、「えっ? 組織が審査員をトレーニングするの? なんか、逆っぽくない?」と驚かれる人がいるかもしれません。私は、イソハドーグさんがまもなく発行される「アイソス7月号」に書いておられるように、ISOマネジメントシステム規格は元々第二者監査から来ていることを理解しておく必要があると思います。「審査は審査機関がするもの」という以前に、「審査は顧客がするもの」という歴史的前提があります。審査は、審査機関よりも組織が先輩なんですね。
    日本の審査機関が行う審査員トレーニングのほとんどは、機関内での研修で終わっていますが、「顧客要求事項だけで監査をする」という実践経験を積むこともトレーニングとして非常に大事ではないかと、今回の取材を通じて思った次第です。

    • イソハドーグ
    • 2010年 6月 04日

    「顧客になりかわり、審査します」という審査員がいらっしゃいますが、中尾さんのこのコメントをよくかみしめていただきたいですね。
    「顧客が代行審査員を監査」に加えて、もうひとつ。
    「この代行審査員が顧客を監査」したら、不適合出てきちゃうんでしょうねぇ。7.4.1供給者の評価ができてません なんてね。
    ありゃ、7月号のネタばらしちゃう!? ちょいとはずかしくなってきました。

    • えきせんとりっく
    • 2010年 6月 22日

    う〜む。やっぱし、一番怖いのは「顧客」ですかねえ。
    代行審査員が、顧客の研修を受けるというのは、よく考えたら当たり前で、代行審査員は、被監査組織の「製品」や、「製品実現のプロセス」(生産活動の実態)を知らない訳ですから。
    代行審査をやる以上、審査を依頼する組織の方だって、被監査組織の製品を買って組み付けている以上、生半可な審査なんぞ、やられたら、金のムダですからねえ。
    たてまえ論では、「マネジメントシステムの共通性」とは言っても、実際に2者監査をやるには、研修を受けてでも力量向上がなされないと、役にたたないんでしょうねえ。

    • 中尾優作
    • 2010年 6月 22日

    <やっぱし、一番怖いのは「顧客」ですかねえ。
    そう思います。これまで取材した「顧客」、いわゆる調達関係者の方々(NTT、日産自動車、三菱重工業、イオン等)は、サプライヤーに対しても審査機関に対しても、みんな厳しい方々でしたね。

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