第三者審査

認証機関とメディアの共通課題

メディアの仕事では、「審査」と「コンサル」の峻別の問題に相当するのが、「記事」と「広告」の峻別です。広告をもらっているので、そのスポンサー企業の提灯記事を書くとか、あるいは広告はもらわずに、お金だけもらってその企業の提灯記事を書くとかいったことが日常的に行われています。これは紙媒体の世界だけでなく、ブログを含めたWebの世界でもあります。認証機関がコンサルをすることで、認証制度の信頼性が損なわれているように、提灯記事がメディア全体の信頼性を損なっています。

メディアも仕事なのですから、「お金をもらっていること」自体が悪いのではありませ ん。お金をもらってやっていることをオープンにしていない行為が問題なのです。ですから一目見て「広告」とわかる「広告」は、実に正しいのです。新聞で言 えば、紙面の下5段で囲ってあるスペースに出ている広告、あるいは全面に記事らしいことが書かれているのですが、紙面の一番上に「広告企画」とか書かれて いる広告、これらは正しい。しかし、紙面の記事の中に、お金をもらって書かれた記事があったりすると、読者はこれに気がつきません。これは正しくない。雑 誌でも、見た目は記事と広告がはっきり分かれているのですが、その記事が全部広告(つまり、お金をもらって書いた記事)であるものがあります。これも、そ の業界を知らない人が読むと、その記事が広告とは気づきません。メールマガジンでも、どこまでがその人の記事で、どこまでが広告かが見分けにくいものがあ ります。ブログだと、ペイパーポストがその典型になるのでしょう。いずれも、わざと記事らしく見せて、読者に信じさせようとしているのです。

「アイソス」という媒体を例にとると、主要収入源は購読料であり、全体の8割を占め、残りが広告になります。ですから、広告スポンサー志向よりも読者志向 になります。これは、「編集に対する信念からして、うちは読者志向なのだ!」というより、単に経営的にそうなのです。どんな企業でも、一番収益のある対象 を第一に志向します。広告の売上構成比は低いですから、広告スポンサーの提灯記事は書く気がしなくなる。つまり、アイソスの健全性は、売上構成比にかかっ ているといっても過言ではありません。これは非常に危ういことです。

一方、認証機関は、主要収入源である受審組織を単純に志向できない立場にあります。制度上は、QMSの場合は顧客に代わって、EMSの場合は社会に代わっ て第三者審査を行い、受審組織の規格適合性を証明しているわけですから。このような、収益先と志向先との矛盾を公式に取り上げたのは、たぶん今年3月に開 催された「JAB ISO9001公開討論会」でのWG1「信頼されるISO 9001認証制度」での発表が最初だと思います。この発表では、審査料を受審組織ではなく、他で負担できないか(国、顧客など)を議論したが結論は出な かったと報告しています。

認証機関は、審査料をもらっている「顧客」ではなく、その後側に控えている「顧客の顧客」や「社会」への還元を志向しなければならず、そのためには「お金をもらっている顧客を志向する」といった単純な収益関係を超えた発想が求められています。

この課題は、アイソスにとっても、メディア全体にとっても、まだ全然乗り越えられていない大きな壁ですから、「認証機関はもっとしっかりしろ!」とは、面 と向かっては言えたものではありません。認証機関の「審査」と「コンサル」の峻別問題の本質は、私どもにとっては「記事」と「広告」の峻別問題として提示 されているからです。

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