是正処置WS

第6回是正処置WS

85-309-IMG_0212.jpg本日、午前10時から午後5時まで、第6回是正処置ワークショップ(WS)が東京の審査道無風流道場で開催された。今回の参加者は13人(開催時の人数)で、プレゼンターは家元さん、道友さん、Oさん、エビデンスさん。

冒頭、家元さんは主催者側として、これまでのWSのおさらいを行った。是正処置の不得手な会社が多く、彼らはその不得手を意識していないと指摘。不得手な会社の特徴を家元さんが列挙すると、フロアーも意見を述べて項目をどんどん補足した。たとえば、家元さんが不具合の原因を「人のせいにする」のが特徴と述べると、フロアーからは「内部監査のせいにする」(前回の内部監査で指摘されなかったから、対応しなかった)とか、「手順書のせいにする」(手順書に書いていなかったから、やらなかった)といった意見が出た。続いて家元さんは、問題発生から対策実施までのフローを図で解説。このフローは大雑把に言えば、仕事→問題発生→問題の定義・特定→原因の調査・特定→対策の立案→対策の実施となり、前回のWSの後半で扱った「家出息子の帰還」は、このフローで言えば「問題の特定」が主題だったが、今回は「問題の定義・特定→問題の調査・特定」における有効なツールとして、Is/Is Not分析を取り上げたいとした。

午後の部。道友さんは、猪原正守氏、久米均氏、中條武志氏(←PDF) の3人それぞれのT型マトリクスによるQMS出来映え評価方法の図を紹介した。これはたとえば、図の右側には本来どのステップで不具合を検出すべきかが書 かれており、左側には実際にはどのステップで不具合が検出されたのかが書かれている。右側の仕組みの完成度に対し、左側の結果でどこまで実績が出ているか を見るというもの。どの工程で作り込まなければならないのかを探るツールとして有効ではないかとしている。

道友さんは続いて、前回のWSでも紹介されたIs/Is Not分析をさらに詳細に紹介。たとえば、前回のWSにおいて、「家出息子の帰還」の演習でなぜなぜ分析を行ったが、いきなりやるとなかなかうまく書けな いことを参加者は体験した。やはり、なぜなぜ分析の前提となるプロセスを踏まえたほうが、うまく書ける。そのため、道友さんは8つのステップを紹介。それ は、0.問題の特定、1.現状把握、2.違いと変化点、3.変化点の整理、4。考えられる原因・理論の列挙(検証方法を含む)、5.Is/Is Not テスト(列挙した理論とIs/Is Notの特徴)、6.原因(問題発生メカニズム)の絞り込み、7.なぜなぜ分析、というもの。参加者からは、Is/Is Not分析を実際に適用してみたい、あるいは適用した事例を知りたいという要望が出た。

次に、OさんはISO 10002:2004(品質マネジメントー顧客満足ー組織における苦情対応のための指針)の特徴と規格解説を行った。同規格は認証用の仕様ではないが、この規格を使って、自己宣言を行ったり、第三者機関から意見書を出してもらったり、審査を受けたりしている組織が、Oさんが調べた範囲では52社あるとのこと。

最後はエビデンスさんが、ヒューマン・エラーの中の重要な問題の1つである「失念」についてプレゼン。「失念」とは「必要な時に、必要な記憶が出てこない こと」である。人間は、自分が行う作業をいくつかのプロセスに分け、本能的にどれが一番重要なプロセスかを自分なりに決めているもので、その重要なプロセ スのことを「メイン作業」という。失念というのは、このメイン作業の前後に起きるそうだ。なので、失念の原因を探るときは、メイン作業の前後の作業の中か ら「〜にくい」部分を徹底的に洗い出すことが重要である。たとえば、「見にくい」「分かりにくい」「取りにくい」「動きにくい」など。その「〜にくい」部 分を改善し、改善後にルールを制定し、その新ルールを教育するという手順で、「失念」の再発防止を徹底すべきであるとしている。

私の感想を一言。「是正処置WS」では、プレゼンターが是正処置に関連するテーマで何かを語り、その話の流れに沿ったトピックとして、フロアーがどんどん 自分の意見を発表していくのであるが、プレゼンターよりむしろフロアーのほうがしゃべっている時間は長い。たとえば、プレゼンターがある事例を発表する と、数人がすかさず、それに関連した自分の経験事例を発表して補足する。なので、1人のプレゼンターが発表し終わった頃には、数人分のプレゼンテーション が行われたのと同じくらいの成果物ができあがっているわけである。これはなかなかスゴイことだと思う。

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コメント

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  • コメント (6)

    • 家元
    • 2008年 12月 21日

    中尾さん、早速のブログ掲載ありがとうございます。
    今、忘年会後の「おとまり組」の道友、GAIさん、えびちゃん、師範とブログを拝見し、いつもながらの素早く的確な情報整理に関心しています。
    それぞれから個別にコメントがつくと思います。
    ワークショップの趣旨から、主役は参加者全員で、無風流でもプレゼンターでもありません。何かを「教える」、ではなく、それぞれの仕事に「活かして」いけるといいな、と思っています。

    • 中尾優作
    • 2008年 12月 21日

    家元さん
    ワークショップのすばらしい趣旨、了解しました。
    来年もどうぞよろしくお願いします!
    「おとまり組」の皆様、うらやまし〜い!

    • 師範
    • 2008年 12月 21日

    やはり中尾さんは記者なんだなぁと、感心いたします。
    今回のワークショップは、全員がもの凄い集中力で進んで行ったと感じています。時間的にはいつもと変わりないのですが、中身の濃さはかなり濃厚でしたね。
    それを短時間でここまで整理される。それも、会場の雰囲気そのままに。本当にスゴイです。
    家元や道友と忘年会でしみじみ語ったのですが、1年前に使命感で是正処置ワークショップを始めたものの、正直、1年間でここまで来れるとは思っていなかったよねと。
    で、それはやはり、ワークショップ参加者全員がちゃんと「ワークショップ」をしてきた結果だと思っています。

    • GAI
    • 2008年 12月 22日

    「おとまり組」のひとりです、というか、そうでなかった時がないというか・・・(^。^;) アセアセ!
    今回も堪能させていただきましたが、正直な話、MSネタでここまで真剣に考え討論する場ってそうは無いだけに、また、言いたい放題をしてしまったかも・・・まあ、そんなヤツがひとりくらい居てもいいですよね(^^ゞ
    というノリでいつも参加していますが、こういった濃い内容をさらりと記事にしてしまう中尾さんの文才にも毎回脱帽しています。おかげで社内報告に困ることもなく・・・と、今回は出張じゃなかったんだ。
    ところで、自腹で参加するともっと気楽になれるだろうと思っていましたが、そうでもないようですね。確かに報告義務もなければ、得られた知識を仕事に応用することを考える必要もないのですが、なにか「もったいなさ」を感じたりしています。
    しかも、Is / Is not分析は「一度やってみたい」なんて思ったり、ヒューマンエラーは「完結編」まで待ち遠しいと思ったりなど、カイシャの打ち合わせでもそんな気持ちになることがほとんど無いっていうのになぜだろう?
    さらには、ISO-MSの仕事なんてサラリーマンだからやっているけど、本当は嫌いできらいでキライでしかないのに、ここに来ると好きになって真剣に取り組んでいる自分がいるのもなぜだろう?
    それほどに密度の濃いWSでした。

    • 中尾優作
    • 2008年 12月 22日

    GAiさんへ
    確かに今回のノリは尋常じゃなかったですね。私は6回中、直近の3回しか参加していませんが、前々回よりも前回のほうが、前回よりも今回のほうが、明らかにパワーアップしています。
    <おかげで社内報告に困ることもなく・・・と、今回は出張じゃなかったんだ。
    そのおかげで、GAIさんはパソコンを打つこともなく、その分だけ話す時間が増えて、良かったのではないでしょうか? 私もさらにGAIさんの話がたくさん聞くことができて、収穫がありました。

    • 中尾優作
    • 2008年 12月 22日

    師範さんへ
    <1年前に使命感で是正処置ワークショップを始めた
    やはり、これですねえ、「使命感」。何か筋の通ったものが一本ないと、続かないし、人も集まらないでしょうから。
    <全員がもの凄い集中力で進んで行った
    今回は始まったかと思えば、もう終わっていた、というくらい充実していました。来年も楽しみです!

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