是正処置WS

第8回是正処置WS

WS8.jpg5月23日午前10時から午後6時半まで、審査道無風流主催による第8回是正処置ワークショップ(WS)が東京の無風流道場で開催され、主催者を含め13人が参加。今回のテーマは「是正処置・改善活動の入口と出口」である。「入口」というのは、問題を特定し、まず応急処置(封じ込め処置)し、それから是正処置を行うまでで、「出口」は、是正処置後の維持確認・検証を意味する。午前中は「出口」、午後からは「入口」に関するプレゼンや議論が行われた。

午前中のテーマは2つ。1つは、知見を一般化する方法としての「水平展開」について。もう1つは、是正処置の在り方を職場の生々しい事例で確認する方法について。WSの議論ではこの両方を併用するのが良さそうだという結論に至った。

【水平展開】
A部署で是正処置をすると、その部署だけでなく他の部署でもその知見を水平展開したい。しかし、A部署の事例をそのままB部署へコピーしても、B部署でう まく機能する確率は低い。職場が異なるとなぜうまくいかないかというと、4M(Men/人、Machine/機械、Material/材料、 Method/方法)の違いもあるし、職場の意地もあるなど、要因は様々だ。そういった職場ごとの個別要因を乗り越えて水平展開を行うには、まずA職場の 事例を、因果・知見・原理・原則といったものに抽象化し、それを個別に再構築して具体的な形(例えば手順)で各職場に適用していかなければならない。この ような事例を抽象化して一般的な知見に変換する作業は、職場でよく使われる用語で言えば「規格化」「標準化」が該当する。この作業は非常に難しい。どうや ればうまくできるのかを議論したが、答えが出ないままに終わった。 しかし、我々は、そういう作業ができる人を見分けることができる。「あのマネージャー なら、他の部署に行っても、これまでの経験を生かせるだろう」と思える人がいる。つまり、抽象化から個別化への展開ができる人というのは判定可能なのだ。 そういう人を適材適所に配置することで、組織の改善力を向上させることはできる。だったら、まず人の力量にスポットを当ててみよう。人の是正力/改善力を 見える化する仕組みとして「是正(改善)能力検定」に取り組むというのはどうだろうか。そこで「是正(改善)能力検定」が次回以降の課題として提案され た。

【事例紹介など】
前述したような、事例を抽象化する作業も重要であるが、一方で具体的な事例そのものを取り上げ、問題の特定から是正処置の実施・維持までをどのようにやっ ているかを再確認する作業も必要である。この両方の作業を併用したほうが良い。WSでは、具体的な生の事例が発表された。このあと、前回のWSで紹介され た「Is/Is not 分析」を使った半導体業界の事例(パッド着色問題)が主催者から紹介された。これは前回、参加者から「実際の事例が見たい」という要望があったことに応え たものである。

【大野耐一氏の思想を切り口に議論】
午後の部。冒頭に、日本科学技術連盟主催の「ISO推進者会議」に参加した人からの報告が行われた。続いて、是正処置・改善活動の入口側(問題特定から是 正処置の実施・効果確認まで)に関するテーマで議論を開始。主催者側が大野耐一氏(トヨタ自動車元副社長、トヨタ生産方式を体系化した人物、1990年 没)の思想を紹介しながら、同氏の残したキーワードを元に、是正処置の優先順位はどうするのか、是正処置の引き金にはどんなものがあるか、是正処置活動の どこまでを入口でやるのか、などについてディスカッションを行った。その中で特に議論が盛り上がったのは、「目標未達の場合、是正処置はやっているか?」 「目標未達で是正処置をやらなかった場合、審査では不適合か?」というテーマだった。

【目標未達と是正処置】
この議論の中で興味深かったのは、「目標未達なのに是正処置をしなかった組織は、審査で不適合になるか?」という問いかけを主催者がしたところ、組織側の 参加者からは「『8.2.3 プロセスの監視及び測定』から、目標未達の場合は是正処置をしなければならないと読むことができるのでは?」という意見が出たことだ。これに対して参加者 の審査員から「ISO 9001には、『達成度が判定可能』(5.4.1 品質目標)という要求はあるが、『達成度を判定しなければならない』という要求は書かれていない。『5.6.3 マネジメントレビューへのインプット』にも『経営者は目標達成度をみなければならない』とは書いていない。また、『8.2.3』の『計画どおりの結果』イ コール『目標の達成』ではない。大雑把に言うと『プロセス』というのは『活動』のことだから、『プロセスの監視及び測定』というのは、『活動』そのものを 見張っているということなのだから」との回答があった。

【どこまで入口でやるのか】
最後に、「是正処置・改善活動のどこまでを入口でやるか」について、参加者 が事例を提供する中で議論を行った。提示されたのは、車のリコール対策の事例、ある職場の再発防止事例、第三者審査の指摘事例、内部監査の取り組み事例の 4つ。盛りだくさんな事例発表で、ディスカッションも盛り上がった。午後6時半でWSは終了したものの、このあとの懇親会でも議論は続いた。

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