JABシンポ

第1回JABシンポ ISO 9001改訂に提案

20130305kume.jpg日本適合性認定協会(JAB)主催による「第1回JABマネジメントシステムシンポジウム」が本日、東京・有楽町マリオンで開催された。このJAB主催シンポは毎年、これまで品質と環境とで別々に開催されてきたが、今年からマネジメントシステムシンポジウムとして一本化された。プログラムは、久米均・JAB理事長(写真右)による挨拶、久保真・JAB専務理事によるJAB活動報告、中條武志・JABマネジメントシステム認定委員会委員長(中央大学教授)による基調講演、WG主査による発表(景井和彦・ビューローベリタスジャパン・テクニカルオフィサー、五十嵐誠・ヤマサ醤油・取締役油品質保証部長)、事例発表(山村充・堀場製作所・品質保証統括センター、松熊宏幸・日本コカ・コーラ・品質保証)、質疑応答。なお当方、午後から別件で取材が入っていたので、午前中のWG1主査による発表までを聴講、その中で印象に残ったことを記す。

 

JABからの挨拶と活動報告
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主催者を代表して挨拶した久米さんは、えらく元気がなかった。昨年12月に逝去された吉澤正・筑波大学名誉教授(元JAB環境認定委員会委員長)について話をされ、「かけがえのないパートナーを失った。謹んで冥福を祈りたい」と述べた。久保さん(写真右) は、MS認証の普及拡大のために「第三者への能力証明」と「認証組織の能力向上」によって認証価値を上げたいとし、その中で認定機関の役割として、審査の 質と信頼性を向上させることに注力するとした。その目玉がJIREC活動の推進。この活動には、認証機関が23機関(これはJABから認定された認証機関 数の約半分に相当)、認証組織が16組織参加している。認証組織の参加が少ないので、認証機関を通じて認証組織にJABが直接参加を呼びかけているそうで ある。最後に、海外認定機関による認定の信頼性の問題を取り上げ、「海外認定機関のみから認定を受けている国内認証機関の81%は、認定機関からの定期 チェックを受けていない」と述べた。ちなみに2009年におけるマネジメントシステム認証件数の内訳は、非JAB認定が44%、JAB認定が56%という 比率である。

基調講演「ISO 9001改訂作業の現場と附属書SL」(発表者:中條武志さん)

中條さんの基調講演は、良い点と悪い点を明確に示すのが大きな特徴である。まず、ISO 9001改訂に向けた動きを解説する中、ISO 9001の功罪を取り上げた。
ISO 9001の功罪

 功 ・PDCAや改善などの品質マネジメントの考え方・方法論の普及・拡大(特に、非製造分野、品質以外の分野)
・第三者機関によるマネジメントシステム認証制度の発展と活用
 罪 ・品質マネジメントや品質保証の形骸化
・製品認証で培われた、認証への顧客・社会の信頼感が低下

一方、ISOマネジメントシステム規格すべてに適用される共通要求事項等を含む附属書SLについても、利点と欠点を揚げている。

附属書SLの利点と欠点

利点 ・複数のマネジメントシステム規格を共通的に捉え、適用することができる。
・何が分野固有の要求事項なのかを明確に把握することができる。
欠点 ・共通のテキストとか分野固有のテキストが重複し、冗長となる。
・共通のテキストと分野固有のテキストを分けることで、関連する要求事項がばらばらになり、理解しにくくなる。

20130305nakajo.jpg最後に中條さん(写真左) はISO 9001及びMS規格への期待として次のように述べている。「附属書SLに基づいたISO 9001及びMS規格の改訂・開発とその適用を通して、『固有技術』『マネジメント』『認証制度』の相互連携がより密接なものになるととともに、“本質” の理解が深まること、これに基づくマネジメントシステム構築・運用が進むことを期待したい」

WG1活動報告「WG1 組織力を強化するISO 9001改訂 〜基盤としてのQMSとその推進力に着目して〜」(発表者:景井和彦さん)

WG1では、ISO 9001:2008への改善要望(つまり、ISO 9001:2015に取り入れて欲しい要望)として、下記のように基盤系として3項目、推進系として2項目を挙げ、それぞれの項目に提言を付している。

基盤系

QMS構築の根拠を明確にする。 提言
Annex SLの影響を受けるので、リスク/機会の考慮及び予防処置の根拠を明確にしたQMS構築となるべきだろう。
工程設計、購買管理の要求事項を細分化・強化する。 提言1
要求事項が細分化され、「計画」と「実施」が独立し、それぞれが改善を受ける過程が明確にされるべきだろう。
提言2
管理方式を決めるための評価であることが、明確に要求されるべきだろう。
提言3
「評価」に、供給者の取引開始後のパフォーマンスを含め、その管理の有効性評価と組み合わせるべきだろう。
変更管理に関する要求事項を強化する。 提言
7.3.7項の要求は、箇条全体をカバーする7.1に位置づけ、QMS全体に適用されるべきだろう。

推進系

組織を取り巻く状況を把握する。 提言
Annex SLの4.1→4.2→4.3→4.4の連続性を重視するQMSとし、4.4の「確立」は、プロセスの「確立」につながるだろう。
QMSを事業プロセスへ統合する。 提言
製品実現のプロセスへの経営者のコミットメントが、より明確になり、経営者による関与の客観性が上がるだろう。

20130305kagei.jpg最後に景井さん(写真右) は、「上位規格のAnnex SLの影響も検討し、それによってISO 9001の改善が促進されると思われる。そして、規格要求事項の改善により、審査のばらつき低減及び組織の規格理解が促進されることで、審査の有効性が増し、認証の信頼性向上に寄与できる余地はある、と考えている」と締めくくった。▼

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