日本規格協会

競争優位要因の導き方 〜品質管理全国大会から〜

「組織の競争優位要因をいかに導き出し、保持し続けるか」を研究テーマとした発表会が、10月21日の「標準化と品質管理全国大会2008」のプログラムの1つとして開催された。タイトルは「競争優位要因の導出法の精緻化とその普及方法に関する研究」で、プレゼンターは金子雅明さん(早稲田大学理工学術院助手)で、講演の補足を飯塚悦功さん(東京大学大学院特任教授)が担当した。

kaneko.jpg【金子さんのプレゼン骨子】
企業を取り巻く経営環境は大きく変化しており、過去の競争優位要因が通用しなくなっている。それをバックボーンとして支えているQMSも再設計しなくてはならない。自分の組織の競争優位要因を明確化し、それを元にQMSを再構築する必要がある。

そのためには基本的に3つのステップが考えられる。
STEP1 顧客価値分析
どの顧客に何の価値を提供するか、つまりターゲット市場を決める。
また、そのターゲット市場でどういう顧客が購買決定をしているかを見極める。
STEP2 価値提供力分析
競合他社との比較分析を行いながら、購買を決定たらしめる価値を探る。
STEP3 競争優位要因分析
他社に打ち勝ってずっと競争優位を維持する能力を見出す。

研究会での実践活動では、なかなかこのようなSTEP通りには分析できなかったが、次のような4つの項目が成果として得られた。
1.実企業への適用による研究データの確保
2.競争優位要因の導出に必要な分析項目
3.分析項目間の関係の整理
4.分析手順のパターン化の可能性
今後は競争優位要因導出のための一連の分析手順の具体化が最も大きな課題である。

256_iizuka.jpg【飯塚さんのコメント】
今回の研究の元になっているのは、JIS Q 9005(質マネジメントシステム─持続可能な成長の指針)である。1960〜80年代にかけての高度成長期における品質マネジメントは「良いものを、安 く、大量につくる」というものだったが、現在の成熟経済社会におけるQMSは「顧客価値提供システム」と考えていいだろう。お客様に価値あるものを提供す るためには、私たちのQMSにどういう能力を埋め込まなければならないのか、ということを考え、実践してみたのが今回の研究である。

日本経営品質賞とかMB賞とかを受賞して喜んでいるのではなくて、私たちはどういうマネジメントシステムを作るべきなのかを自分で設計することが大事なのだ。そのときのキーワードになるのが「競争優位要因」、すなわち「自分たちのあるべき姿」である。

具体的に言うと、こういうことだ。
例えば自社の商品の強みが、先端的な技術を持っているかというのではなくて、枯れた技術かもしれないけれども、全然不良が起きない、安定した生産ができる ことだとしよう。これが強みだと認識した場合、それを実現しているのが設備の技術だとするなら、その設備の技術を維持・向上させる能力をQMSに埋め込ま なくてはならない。そこを頑張ることだ。

あるいは基盤技術を元に、お客さんのニーズに合わせてカスタマイズした技術を提供することを得意とする組織であるなら、いわば設計工程の量産化のような技術を維持・向上させる能力をQMSに埋め込まなければならない。そこを頑張ることだ。

私たちはどういう能力を持っていなければならないか、それを明らかにすること。そして、そういう能力は必ず私たちの組織の手順や仕組み、プロセスなどに、 すでにある程度埋め込まれているはずだから、それをQMSの中でどう維持し強化していくかを考えることが大事なのである。

関連記事

  1. 元駐マレーシア大使・堀江正彦氏が語った日韓の格差
  2. 日本規格協会主催の事業シナリオ・ワークショップ
  3. 病院QMS問答 〜品質管理全国大会から〜
  4. 日本の標準化政策はすごいぞ

ピックアップ記事

「7.5.2 製造及びサービス提供に関するプロセスの妥当性確認」

ISO 9001の規格解釈の中で議論の多いものの1つが、「7.5.2 製造及びサービス提供に関す…

はてな的「作業環境」

9月25日に家元さんから、「6.4 作業環境」に関するコメントをいただいてから、何かおもしろ…

中尾元子 82年史 その2

母は3人の子どもの世話から手が離れると、つまり末っ子の私が小学校に行くようになると、自宅でピアノ塾を…

制度改革の提案盛りだくさんのJABシンポ特集

アイソス 2018年6月号(5月10日発売)の特集は、3月20日に開催された「第6回 JAB マネジ…

三菱ふそう&テュフの対談実現

2011年4月にISO/TS 16949の認証を取得した三菱ふそうトラック・バスと同認証審査を行った…

アーカイブ

ツール

規格

PAGE TOP