その他会合

JMA主催のISO大会初日

日本能率協会主催の「第1回 ISOマネジメント成果事例発表大会」が1月28日より3日間、東京のベルサール八重洲で開催され、初日のオープニングセッション及び基調講演には約200人の来場者が詰めかけた。

冒頭、主催者を代JMA.jpg表して富坂良雄氏(日本能率協会会長)があいさつ、「ISOは普及はしたが、その反面、安易な審査によって認証さえ取れればいいという動きもあるし、一方でISOの認証組織において安全や衛生面などで不祥事が出ている。そこで今回は、ISO再出発の流れを鮮明に示すためにも、ISOの厳格な運用を行いながら、経営に生かすことに取り組んでいる組織の事例を、3日間にわたって発表していただく。ここでの生の声を持ち帰って、組織の中でお役立ていただきたい」と語った。

hirabayashiwarai.jpg続いて、オープニングセッションでは、TC176委員である平林良人氏(テクノファ代表取締役)が、ISO 9001:2008改定の解説を行った。平林氏はまず、2008年版は2000年版と比較して、新たな要求事項の追加・変更はないことを強調。ただし、2000年版の規格の意図を正しく理解していなかった組織は、今回の規格改定は、組織のQMSを見直すいい機会になるとしている。

次に、「ISO 9001に適合していると判断されても、要求事項を満たす製品を提供できていない組織がある」というOutput Matters の問題について触れ、これについては「QMSの有効性」を定義しようという提案がTC176から出ており、実際には今年2月に東京で開催されるTC176 総会で議論がスタートする予定。またOutput Mattersに関するTC176での議論の中で、「トップダウン」と「ボトムアップ」の2つの大きな思考方法があるが、規格からトップダウンで出される 要求事項に適合するだけでは、どうしても形骸化の問題が出てくる。やはり、組織のこれまでの取り組みを生かしながら、規格への適合性を保ちつつパフォーマ ンスを出すという、組織からのボトムアップが重要ではないか、という意見も出ているとのこと。ただ、JISの2000年版の要求事項の範囲が広かったために、JISの2008年版では修正した個所があるので、そこを述べておく。

そ れは、「8.2.4 製品の監視及び測定」。JISの2000年版では第二パラグラフで「製品のリリース(次工程への引渡し又は出荷)」となっていたが、2008年版では「顧 客への引渡しのための製品のリリース」となっている。「次工程」では、顧客に引き渡す最終製品だけでなく、中間製品も含まれるので、2000年版のJIS のほうが適用範囲が広くなる。平林氏はこれについて、「組織が『次工程』という考え方で運用されていても、まちがいではない。ただ、2008年版のミニマ ムの要求事項は『顧客への引渡しのための製品のリリース』である」としている。

iizukawarai.jpgこのあと、TC176国内委員会委員長の飯塚悦功氏(東京大学教授)が「ISOマネジメントシステム 企業の取り組みのあり方」をテーマに基調講演を行った。飯塚氏は、ISO 9000規格の誕生から規格改定までの経緯と制度の仕組みなどについて解説。
まず、マネジメントシステムについて。企業は固有技術をまず持っていなければならない。しかし、いくら優れた固有技術を持っていても、それを活用するため の仕組みがなければ宝の持ち腐れになる。一方、いくらマネジメントシステムをうまく運用しようとしても、肝心の固有技術を持っていなければ、何にもならな い。核となる固有技術の要素を、マネジメントシステムの中にうまく組み込んでいくことが重要なのだとしている。

制度については、ISOの認証制度は、強制ではなく任意の制度である。それだけに何のためにISOに取り組むのか、その挑戦理由を明確にしなければならないとのこと。

要は、ISO 9001を有効活用することだ。たとえば、「顧客満足」や「継続的改善」は、日本がこれまで品質で考えてきた概念よりも限定的であり、あまり大した意味を 持っていないが、どうせやるなら「美しき誤解」をし、その意味を「意図的に拡大」して取り組もうではないか。規格要求事項を超えることで、審査で文句を言 われるなら、審査対象から外せばいいのだから、と大いにハッパをかけた。

このあと午後からは、認証組織によるプレゼンテーションに入り、会期3日間を通じて25社の事例発表が行われる予定。

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コメント

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  • コメント (4)

    • 迷える仔豚
    • 2009年 1月 29日

    「美しき誤解」・・・・・ステキなフレーズですネェ。
    誰かに「押し付けられた誤解」ではなく、判っていながら敢えてする「誤解」。自分たちのためにする「誤解」。
    平林さんの言われている2008年版で製品のリリースが縮小解釈されたといって、2000年版のままで次工程を含んでも間違いでは無いというのも「美しき誤解」ですね。
    愛する二人が、互いの幸せのために判っていながら「誤解」をして判れて行く。その間違いを指摘するような「無粋」なことをしちゃいけません。
    うぅぅ〜ん。一昔前の映画のタイトルにもなりそうなフレーズです。

    • 磯山
    • 2009年 1月 31日

    そうですか、ボトムアップについても検討が加えられている
    とのこと、とても興味深いですね。
    日本の繁栄の一因としてよく教育水準の高さや粒ぞろいで
    あることが挙げられますね。
    でも他の国がそれらを追い越しても、果たして日本的な質
    の高さが得られるかというと、ちょっと違うのだろうと考
    えています。
    私は日本人のマインド面に、相手の喜ぶ顔を見ると自分も
    嬉しい、だから仕事にしてもなんにしても真面目に取り組
    む・・・というような特性があるような気がしています。
    ちょっとうまく表現できませんけれど。
    だからこそ、自発的な動きが職場でも出てくるのだろうと。
    ただ、苦笑してしまうのがそれらの要素を要求事項にして
    よいものなのかどうか? なんです。
    「○○の活動は自発的に実施すること」
    なーんて、違和感アリアリですよね(笑)

    • 中尾優作
    • 2009年 2月 02日

    迷える仔豚さんへ
    <2000年版のままで次工程を含んでも間違いでは無いというのも「美しき誤解」ですね。
    言われてみれば、そうか、これも「美しき誤解」。書いていながら、気づきませんでした。

    • 中尾優作
    • 2009年 2月 02日

    磯山さんへ
    私もこのボトムアップの議論に関心があります。
    平林さんの説明が簡単だったので、詳細はどうだったのか、いつか聞いてみようと思います。

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