テクノファ年次フォーラム

藻谷浩介氏らを招きテクノファが年次フォーラム

419-20111222hirabayashi.jpgISO研修機関・テクノファ(平林良人社長、本社・川崎市)主催による「第18回年次フォーラム」が12月22日、東京都品川区の「きゅりあん」で開催された。今回は飯塚悦功氏、今野能志氏、藻谷浩介氏の3名を講師に招き、400名近い来場者を迎え盛況を博した。冒頭、主催者を代表して平林社長(写真左)があいさつ、「マネジメントシステムというのは人が最も大事。人がつながって強くなるという日本の本来の特徴を生かさないと、日本は強くならない」と述べた。以下、講演3題の骨子を報告する。

 

講演1:「ISO 9001認証の社会的価値と有効活用」
飯塚悦功(いいづか・よしのり)氏〈東京大学大学院教授〉

20111222_iizuka.jpgISO 9000には、「基準・指針としてのQMSモデル」プラス「QMS認証制度」という2つの側面がある。ISO 9000に期待されているところは、製品を通して顧客に提供される「価値」にある。その目的達成のためのアプローチとしてPDCAがあるが、PDCAには それぞれ2つの要素がある。Plan(計画)には「目的・目標の明確化」と「目的達成のための手段・方法の決定」、Do(実施)には「実施準備」と「実 施」、Check(確認)には「目的達成に関わる進捗確認と処置」と「副作用の確認と対応」、Act(処置)には「応急処置と影響拡大防止」と「再発防 止・未然防止」。PDCAを賢く回すための多くのパターンが「再発防止・未然防止」から「目的達成のための手段・方法の決定」へのフィードバックである。
一方、QMS認証制度には、「能力証明(QMS構築・運用・改善能力の証明)」と「能力向上(認証プロセスを通じた能力向上)」の2つが期待されている。 この認証が価値を生み出すためには、認証基準が妥当であり、基準適合行動・認証プロセス・認証結果の活用が適切でなければならない。
ISO 9000を有効活用するためには、基本動作を徹底し、 内部監査や認証機関によるサーベイランスという継続的な見直しを活用すること、また第三者認証とい う「外圧」をうまく利用することである。また、ISO 9000を超える仕組みとしては、TQMへのステップアップや、JIS Q 9005による競争優位のためのQMS、ISO 9004:2009による組織の持続的成功のための運営管理などが提供されているので、活用いただきたい。

講演2:「組織マネジメントにおける人間関係  一人ひとりがモチベーション高く、活き活きと活躍するために」
今野能志(こんの・ともゆき)氏〈行動科学研究所代表取締役〉

6310-20111222konno.jpgモ チベーションとは「自らやる気になること」である。では、どういうときにやる気が起きるかというと、やりたいことをやりたいときにやれるときであり、それ はすなわち組織においては「目的を持って働くこと」である。私がモービルに入社した時、上司から「会社なんか、いつ潰れるか分かりません」と言われた。そ れは「だから、あなた自身が目的を持ってしっかりと働かないとダメなのです」という意味。働く目的を持っている人は、仕事を楽しむことができ、実際にいい 仕事をするものである。
人の全人生の中で、仕事人生(Working Life)の占める割合は人によって異なる。人生のほとんどを仕事に費やす人もいれば、趣味や遊びを重視する人もいる。さらに仕事(Work)も、報酬を 伴うものと、伴わないものとがある。例えば、報酬を伴わないボランティア活動に熱心な人は、報酬の重要性がよく分かっているので、報酬が伴う仕事にも一生 懸命取り組むことが多い。
キャリア(仕事を中心とした人生展開)には、内的キャリア(仕事の価値・意義)と外的キャリア(仕事の種類・分野)があるが、ボランティア活動に熱心な人は、内的キャリアが充実している、つまり働きがい・生きがいを感じているのである。
我々が提供する「キャリア開発(Career Development)」というのは、内的キャリアと外的キャリアの統合である。これは組織にとっては、適材適所ということだ。キャリア開発のキーワー ドは自己決定・自己責任である。自分の物差しをもって、自分のキャリア目標を決めることが重要だ。そのためには組織は、組織のために人を大切にするのでは なくて、その人のためにその人を大切にし、その人のキャリア開発を支援しなければならない。また、日本の組織はこれまで同質・均等を大事にしてきたが、こ れからは異質・異能を大事にしなければならない。それが多様性(Diversity)ということだ。
キャリア開発を成功させるためには、コミュニケーション・スキルが必要だ。コミュニケーション・スキルとは、アサーション・スキル(自分が伝えたいことを きちんと伝えられること)と、リスニング・スキル(一人ひとりの違いを尊重しながら、きちんと相手の話を聴けること)の両方でパッケージになっている。コ ミュニケーション・スキルを身につけ、お互い仕事が楽しめる環境を作ることが大切だ。

講演3:「デフレの正体と震災後日本の針路」
藻谷浩介(もたに・こうすけ)氏〈日本政策投資銀行参事役〉

6311-20111222motani.jpg私 のこれからの話は政府機関などがウェブで公表している統計であり、話すのは事実だけで、私の意見などはほとんど入っていない。マスコミや経済学者が言う 「日本経済は凋落している」とか「日本の貿易黒字は減少基調」とかいった発言に振り回されてはいけない。日本の輸出額は、プラザ合意以降、途中でバブル崩 壊などで沈んだこともあったが、増加基調を続け、特に今世紀頭の7年間で5割増となり、2008~9年はさすがに世界同時不況で下降したものの、それでも 貿易収支は黒字のままだった。さらに、外国から稼いだ金利配当が、外国に支払う金利配当よりも多い分を所得黒字というが、それが今やバブルの頃の5倍以上 に増えている。国際収支においても、対欧米だけでなく、対中国、韓国、台湾、シンガポールに対しても、日本は大幅な黒字である。
このように国際経済競争では日本は勝っているのだが、日本経済は停滞している。それはなぜかとうと、国際競争とは無関係に進む内需縮小にある。海外から集 めた膨大なお金(貿易収支と金利配当)の多くは輸出企業と、その企業株主になっている高齢富裕層に集中し、日本の国内消費に使われることなく、海外に再投 資されるので、内需に貢献しない。
日本の内需不振の本当の原因は現役世代(15〜64歳)の減少と高齢者(65歳以上)の激増にある。現役世代の減少は、生産に関してはロボットやコン ピューターなどで補える部分があるが、消費については必ず減少する。一方、個人所得は個人消費とは連動しない。例えば所得が多くても消費はしない高齢者が 増え続けている。
では、どうすればいいのか。高齢富裕層から個人消費につながる若い世代へ所得移転をすべきだ。また、女性就労をもっと当たり前にすれば、就業人口が増え、出生率も高まり、それが内需に貢献することになる。
海外の事例で言えば、何が起きても儲けが減ることがない世界経済競争・勝者の日本から、黒字を稼いでいる国から学ぶことである。スイス、フランス、イタリ アがそうだ。彼等が強いのは自国製の高級ブランド品。あるいは私が今ここで飲んでいるエビアンや、日本家庭で多く飲まれているワインもフランス製だ。
最後におさらい。日本は貿易黒字国か? そうだ。日本の国内販売額は減っているか? 減っている。日本の現役世代は減り、高齢者は増えているか? そうだ。これは政府が公表しているデータであり、事実である。

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コメント

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  • コメント (2)

    • イソハドーグ
    • 2011年 12月 23日

    ふぅ〜ん、ISO9000-「基本と用語」には、QMSモデルと認証制度があるのかぁ。

    • 門岡 淳
    • 2011年 12月 29日

    ふぅ〜ん,予防処置ってACTだったんだ〜。泥縄より転ばぬ先の杖,羹に懲りて膾を吹くより備えあれば憂いなし・・・・予防措置ってPLANだと思うんだけどなあ・・・・「未然防止」と予防処置という単語を使っていないのは・・・そういう意味だよね。私も,昔はACTだと思っていたなぁ・・・・(^-^)tooime。

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