ISO 50001:2011

ISO 50001とISO 14001との相違点(2)

「ISO 50001とISO 14001との主要相違点」の第2回目。

ISO 50001の「4.4 エネルギー計画」の概念図を昨日示したが、その図に「計画のアウトプット」として、「ベースライン」「EnPI(エネルギーパフォーマンス指標)」「目的・目標、アクションプラン」という3項目が書かれている。これがエネルギーレビューの結果として出てくる「4.4.4 エネルギーベースライン」「4.4.5 エネルギーパフォーマンス指標」「4.4.6 目的・目標及びアクションプラン」に相当する。

「4.4.4」は、エネルギーマネジメント特有の要求事項であり、ISO/DIS 50001の附属書Cでも、ISO 14001と関連する条項がブランクになっている。一方、「4.4.6」にはISO 14001との比較の上で注意すべき点がある。

4.4.6 目的・目標及びアクションプラン

タイトルのアクションプラン(Action Plan)は、ISO 14001の実施計画(Programme)と意味は同じと考えてよい。
組織は、関連する部門、階層、プロセス又は施設において文書化されたエネルギー目的及び目標を設定し、実施し、維持しなければならない。エネルギー目的及び目標は明確で測定可能でなければならない。目的・目標達成のために時間的枠組みも設定しなければならない。(中略)

エネルギーマネジメントアクションプランには以下のことが含まれていなければならない。
a) 責任の明示
b) 個々の目標達成のための手段及び期限
c) エネルギーパフォーマンスの改善を検証する方法の記述
d) アクションプランの結果を検証する方法の記述

エネルギーマネジメントアクションプランは文書化され、定められた間隔で更新しなければならない。

ISO 14001の場合、文書化された目的及び目標の設定の対象は、組織の関連する部門及び階層だったが、ISO 50001では、さらにプロセスや施設も対象になる。さらにISO 14001にはない、目的・目標達成のための時間的枠組みの設定も要求されている。

また、ISO 14001の実施計画は、ISO 50001のa)とb)に相当する項目だけだが、ISO 50001では、さらにc)とd)の2項目が要求されている。

4.5 実施及び運用

4.5.1 一般
4.5.2 力量、訓練及び自覚 (支援)
4.5.3 文書化及び文書管理 (支援)
4.5.4 運用管理 (運用)
4.5.5 コミュニケーション (支援)
4.5.6 計画設計 (運用)
4.5.7 エネルギーサービス、製品、設備及びエネルギーの調達 (運用)
*(支援)(運用)は寺田さんによる区分け、原文にはない。

「4.5」 は7つの条項で構成されているが、その内容は大きく「支援要素」と「運用要素」に分かれている。ISOでは、将来の在るべきマネジメントシステム規格の構 造をJTCGで審議しているが、そのグループでは将来的にはこの2つの要素をきちんと区分した規格構造にすることで合意されている。現時点での ISO/DIS 50001ではまだこの2つの要素がバラバラに並べられているが、今後はこの順番が改訂される可能性がある。

4.5.2 力量、訓練及び自覚

(前略)
組織は、組織で働く又は組織のために働く人に次のことについて常に自覚を持ち続けることを確実にしなければならない。
a) ・・・(以下略)

ISO 14001の「4.4.2 力量、教育訓練及び自覚」では、ここの表現は「組織は、組織で働く又は組織のために働く人に次のことを自覚させるための手順を確立し、実施し、維持するこ と」となっており、手順が要求されているが、ISO 50001では「常に自覚を持ち続けることを確実に」することとなっている。ISO 50001のほうが難しい要求になっているのではないか。

4.5.3.2 文書の管理

規格及び組織のエネルギーマネジメントシステムが要求する文書は管理しなければならない(技術文書を含むことがある)。
次のことを含む手順を確立し、実施し、維持しなければならない。
a) 発行前に、適正性の観点から承認を行う
b) 定期的にレビューを行い、必要に応じて更新する
c) 文書の変更の識別及び現在の改訂版の識別を確実にする
d) 該当文書の適切な版が必要な場所にあることを確実にする
e) 文書が読みやすく、容易に識別可能な状態であることを確実にする
f) エネルギーマネジメントシステムの計画及び運用のために必要であると組織が決定した外部文書を明確にし、その配布が管理されていることを確実にする
g) 廃止文書が誤って使用されないようにし、何らかの目的でこれらを保持する場合には適切な識別を行う
a)からg)までの7項目の手順を確立し、実施し、維持することが要求されている。このように「手順の確立」が要求されている条項は、ISO 50001では、この「4.5.3.2 文書の管理」と、「4.6.4 不適合、修正、是正及び予防処置」の2カ所だけである。

ISO 50001の「4.5.3.2 文書管理」と、ISO 14001の「4.4.5 文書管理」はほぼ同じ内容である。

(明日に続く)

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