ISO 9001:2008

「序文 0.1 一般」

久しぶりに「ISO9001ユーザーの声」を続けます。
第4章以降の要求事項だけをチェックしてきたのですが、先日受講した「いそいそフォーラム10周年記念研修会」で、あるプレゼンターの方が「序文や第1章、ほんと、読んでない!」と言っておられたので、序文から第3章までについても、2008年版の変更点を取り上げてみることにしました。

今日は「序文 0.1 一般」の変更点をみてみます。
2000年版のJISでは0.1の真ん中あたりに「この規格の表題は変更され、もはや品質保証という言葉を含んでいない」と書かれています。これは規格の タイトルが、94年版までは「品質保証」という言葉が入っていたが、2000年版からは「品質保証」という言葉がなくなったという意味で書かれていたので すが、「品質保証の規格じゃなくなったから、2000年版からは品質保証を扱わなくなったんだ」と誤解する人たちが出てきました。もちろん、ISO 9001は品質保証を扱っていますから、下記の文章はまぎらわしいので2008年版ではすべて削除されました。

(ISO 9001:2000 Foreword)
The  title of ISO 9001 has been revised in this edition and no longer includes the term “Quality assurance”.  This reflects the fact that the quality management system requirements specified in this edition of ISO 9001, in additon to quality assurance of product, also aim to enhance customer satisfaction.
(JIS Q 9001:2000 序文 0.1 一般)
この規格の表題は変更され、もはや品質保証という言葉を含んでいない。このことは、この規格で規定された品質マネジメントシステム要求事項は、製品の品質保証に加えて、顧客満足の向上をも目指そうとしていることを反映している。

お読みいただくとわかるように、「製品の品質保証に加えて」ときちんと明記しているんですが、それでも誤解する人がいるんですね。

また、組織のQMSが影響を受ける要素として、新たに「事業環境(business environment)」を2008年版で追加し、英文も its(組織の)を入れるなどして、明確化をはかっています。2000年版と2008年版とを比較してみると下記のようになります。

(ISO 9001:2000  Introduction  0.1 General)
The design and implementation of an organization’s quality management system is influenced by varying needs, particular objectives, the products provided, the processes employed and the size and structure of the organization.
(JIS Q 9001:2000 序文 0.1 一般)
組織における品質マネジメントシステムの設計及び実現は、変化するニーズ、固有の目標、提供する製品、用いられるプロセス、組織の規模及び構造によって影響を受ける。

(ISO/FDIS 9001:2008  Introduction  0.1 General)
The design and implementation of an organization’s quality management system is influenced by
– its business environment, changes in that environment, or risks associated with that environment,
– its varying needs,
– its particular objectives,
– the products it provides,
– the processes it employs,
– its size and organizational structure.
(JIS DRAFT 9001:2008 序文 0.1 一般)
組織における品質マネジメントシステムの設計及び実施は、組織の、事業環境、事業環境の変化、又は事業環境に関連するリスクによって、また、組織の、変化するニーズ、固有の目標、提供する製品、用いるプロセス、規模、及び組織構造によって影響を受ける。

最後に重要な変更点です。2000年版では、規制要求事項(regulatory requirements)と法令・規制要求事項(statutory and regulatory requirements)という2つの用語が混在していました。「規制要求事項」は「0.1」「1.1 a)」「1.1 b)」「1.2」に使用され、「法令・規制要求事項」は「5.1 a)」「7.2.1 c)」「7.3.2 b)」に使用されています。そこで2008年版では、すべて「法令・規制要求事項(statutory and regulatory requirements)」という表現に統一することになりました。「法令」は、政府及び地方自治体からの法律(条例)を意味し、「規制」は、法律以外 の政府及び地方自治体からの規制及び業界団体などの自主規制も含まれます。また、2000年版では、何についての法令・規制要求事項なのか、それにかかる 形容詞にも一貫性がありませんでしたので、applicable to(〜に適用される)を使うことになりました。以上、前置きが長くなりましたが、2008年版では下記のように変更されます。
(下線が2008年版で新たに書き加えられた部分、他は2000年版と同じ)

(ISO/FDIS 9001:2008  Introduction 0.1 General)
This International Standard can be used by internal and external parties,  including certification bodies, to assess the organization’s ablity to meet customer, statutory and requlatory requirements applicable to the product, and the organization’s own requirements.
(JIS DRAFT 9001:2000 序文 0.1 一般)
この規格は、製品に適用される顧客要求事項及び法令・規制要求事項並びに組織固有の要求事項を満たす組織の能力を、組織自身が内部で評価するためにも、審査登録機関を含む外部機関が評価するためにも使用することができる。

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  1. 「7.5.3 識別及びトレーサビリティ」
  2. 「7.4.1 購買プロセス」
  3. 「0.3 JIS Q 9004との関係」
  4. 「6.3 インフラストラクチャー」
  5. 「8.1 一般」
  6. N・クロフト氏のコメント
  7. 「7.3.3 設計・開発からのアウトプット」
  8. 「8.5.2 是正処置」

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