ISO 9001:2008

「4.1 一般要求事項」

今まで、「8 測定、分析及び改善」「7 製品実現」「6 資源の運用管理」「5 経営者の責任」の順番で2008年版を見てきましたが、今日から「4 品質マネジメントシステム」に入っていきます。「4.1 一般要求事項」ではアウトソースに関する記述が大幅に改訂されました。
雑誌アイソスの場合、アウトソースで最も大きなウエイトを占めているのは寄稿と印刷です。雑誌に掲載する原稿の作成を組織の外の人に依頼するのが寄稿であり、できあがった編集データ(DTPのデータ)を印刷会社に渡して雑誌まで仕上げてもらうのが印刷です。編集企画や原稿内容の打ち合わせ、校正データや原稿料のやり取りなど、アウトソース先とのコミュニケーションが結構あるので、寄稿の場合は「管理感」があります。しかし、印刷の場合は、データが入ったCDを印刷所に渡した後は、青校正でやり取りするぐらいで、後は納品されるまでほとんどコンタクトはなく、「管理感」があまりありません。アウトソース管理で気を付けなければならないのは、「管理感」があまりない方だと思います。アイソスの場合もそうなのですが、「管理感」があまりない方が、投入している経営資源が大きく、過去に起こった品質トラブルの被害額も大きいことが結構ありますから。

2008年版では「4.1」の本文の第4パラグラフの最後に次の文が加わりました。

(ISO/FDIS 9001:2008)
The type and extent of control to be applied to these outsourced
processes shall be defined within the quality management system.
(JIS DRAFT 9001:2008)
これらのアウトソースしたプロセスに適用される管理の方式及び程度は、組織の品質マネジメントシステムの中で定めなければならない。

このような、ちょっと当たり前とも思える文が追記されたのは、ISOに、品質保証部の関与が少ないまま、製品実現のプロセスが外部にアウトソースされ、品質問題が起きている事例が数多く報告されたからだそうです。

また、「そもそも『アウトソースしたプロセスの管理』とは何を意味するのか?」という質問がISOに数多く寄せられたことから、2つの注記を新たに加えました。

(ISO/FDIS 9001:2008)
NOTE 2  An outsourced process is identified as one needed for the
organization’s quality management system but chosen to be performed by
a party external to the organization.

NOTE 3  Ensuring control over outsourced processes does not absolve the
organization of the responsibility of conformity to all customer
statutory and regulatory requirements.  The type and extent of control
to be applied to the outsourced process can be influenced by factors
such as
a) the potential impact of the outsourced process on the organization’s
capability to provide product that coforms to requirements,
b) the degree to which the control for the process is shared,
c) the capability of achieving the necessary control through the application of 7.4.

(JIS DRAFT 9001:2008)
注記2 アウトソースしたプロセスとは、組織が品質マネジメントシステムにとって必要なプロセスであると特定しているが、組織の外部で実施することにしたプロセスである。

注記3 アウトソースしたプロセスに適用される管理の方式及び性能は、次のような要因によって影響され得る。
a)要求事項に適合する製品を提供するという組織の能力に影響を及ぼす、アウトソースしたプロセスの潜在的な影響
b)そのプロセスの管理の分担の程度
c)7.4 の適用を通じて必要となる管理を達成する能力

このほか、2008年版で変更になった個所は、まず本文 a)項の identifyがdetermineになったこと。すでに説明したように、例外としての「7.5.3」以外、 2000年版の identifyは他の項番でもすべてdetermineに変更されています。
次に、本文e)項の measure が measure(where applicable) になり、これもすでに説明したように「適用可能な場合には」が付くことによって、規格の柔軟性が高まりました。
最後に、注記1の文末に analysis and improvement(分析及び改善)が付きました。これは、本来入るべきものが抜けていたから入れたまでのことです。

関連記事

  1. 「8.5.2 是正処置」
  2. 「7.3.3 設計・開発からのアウトプット」
  3. 「8.5.1 継続的改善」
  4. 「6.2.2 力量、教育・訓練及び認識」
  5. 「8.4 データ分析」
  6. 「7.5.5 製品の保存」
  7. 「7.1 製品実現の計画」
  8. 「7.6 監視機器及び測定機器の管理」

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