ISO 9001:2008

「6.2.2 力量、教育・訓練及び認識」

今日は「6.2.2 力量、教育・訓練及び認識」です。
あれ、タイトル変わってますね。
そうなのです。
ISO 14001:2004と整合させるため、用語の順序を入れ替えて、このようになりました。
本文の変更は2個所ですが、a)項については昨日述べた通りです。
b)項については、「必要な力量がもてるように(satisfy these needs)」から「必要な力量に到達することができるように(achieve the necessary competence)」に書き替えられ、規格の意図の明確化がはかられました。
そして、冒頭に where applicable(該当する場合には)が付きました。
これが重要ですね。
すでに何度か申しましたが、これが付くことによって規格に柔軟性ができました。
つまり、必要な力量が不足している場合には、教育・訓練が要求されますが、そうでない場合は要求されてはいないのです。
とにかく何がなんでも教育・訓練せよ、と言っているわけではありません。
原文の変更は下記のとおりです。
下線が追加された個所で、横線が削除された個所です。

(ISO/FDIS 9001:2008)
b) where applicable, provide training or take other actions to satisfy these needs achieve the necessary competence.
(JIS DRAFT 9001:2008)
b) 該当する場合には(必要な力量が不足している場合には)、その必要な力量に到達することができるように教育・訓練を行うか、又は他の処置をとる。

この条項で、ISOユーザーから最も多くの疑問が寄せられたのはc)項でした。

c) evaluate the effectiveness of the actions taken,

この the actions が何を意味するか明確ではない、という疑問です。
確かに明確ではありませんが、その1つ前のb)項に、training と other actions が出てきますので、たぶんこのことであろうという推測はつきます。JIS ではその推測を含めて、2000年版で「c) 教育・訓練又は他の処置の有効性を評価する」と意訳しました。
だから、日本からはこの疑問は出なかったそうです。結局、2008年版ではc)項の変更はありませんでした。

ですが、このJISの意訳は勇み足ではないでしょうか。the actions は、正確にはb)項で組織がとる actions のことでしょう。
そう考えたほうが、 where applicable がc)にも敷衍して、規格の意図が反映されると思うのです。

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コメント

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  • コメント (3)

    • 師範
    • 2008年 9月 22日

    必要な力量が何か?
    その仕事はどんな力量があればできるのか? が明確になって、初めて教育や訓練が必要なのかとか、他の処置をとるべきかなのか、が分かるわけですが、肝心な「力量」が明確になっていないことが多いですね。
    欧米では、この仕事に就くには、これだけのことができないと採用対象にはならないと、「力量」について採用段階から明確ですが、日本には、雇ってから育てる(実際には、俺の背中を見て覚えろ的だったりしますが)と考えているせいか、どういう人材が必要か? と聞いても、漠然とした答えが返ってきたりします。
    QS-9000をやっていた当時、人材計画とは、「どういう力量の人材を何人育てる」というもので、来年何人新入社員を採用するというだけでは不足だと、オーストラリア人とイギリス人の審査員から言われた記憶があります。
    顧客との品質保証を維持するためには、どういう人材が何人必要か、まできちんと考えるべきだというのが、彼らが言いたかったことでした。「日本人が考える品質保証は、品質管理の域から出ていない」なるほどねと思わせられる瞬間でした。

    • 中尾優作
    • 2008年 9月 24日

    取材に行くと、力量マップを見せてくれる会社って、結構あります。例えば、縦の列には仕事の内容が書かれていて、横の列にはその仕事を実行するために必要な技術や知識が書かれているマトリックスのようなものです。テストや研修などの結果をこの一覧表に当てはめれば、例えばAさんは、aの仕事についてはレベル2だが、bの仕事についてはレベル3の力量を持っていると判定されるわけです。
    ですが、この力量マップに「手間暇」の観念が抜けている会社って、多いのではないでしょうか。人が力量を付けるには時間がかかりますし、経営資源の投入も必要です。ですから、当然人が力量を付けるまでのプランが必要になってきますが、その「人材計画」をまともに作っている会社は、意外に少なかったりします。採用の面接で、力量を厳しく問わないのも、その現れ。たぶん、師範さんはこのことを言っておられるのだと思うのですが。

    • 師範
    • 2008年 9月 25日

    中尾さん、明快な解説をありがとうございます。
    そのとおりです。
    6.2.1から6.2.2のa)項b)項c)項d)項を組合わせて考えると、実は、この人材育成計画に行きつきんじゃないなかなぁなんてことをつらつら考えていました。で、その達成状況を監視測定して行くことを加えると、教育・訓練プロセスではなく、もう少し大きな枠組みの人的資源の運用管理プロセスというものになるんじゃないかな・・・。
    だから、「“該当する場合”には、必要な力量に到達することができるように教育・訓練を行うか、又は他の処置をとる」なのでしょう。
    中尾さんのおっしゃっている手間暇について、TS16949では明快に書いていますね。特に、この部分などは、まさにソレですね。
    TS16949 6.2.2.4 
    従業員の動機付け及びエンパワーメント
    Employee motivation and empowerment
    組織は、品質目標を達成し、継続的改善を行い、革新を推し進める環境を創造するために、従業員を動機付けるプロセスを持つこと、そのプロセスは、組織全体にわたって品質及び技術に対する意識の向上を含むこと。
    The organization shall have a process to motivate employees to achieve quality objectives, to make continual improvements, and to create an environment to promote innovation. The process shall include the promotion of quality and technological awareness throughout the whole organization.
    組織は、組織の要員が、自らの活動のもつ意味と重要性を認識し、品質目標の達成に向けて自らどのように貢献できるかをどの程度認識しているかを測定するプロセスをもつこと[6.2.2d)参照]
    The organization shall have a process to measure the extent to which its personnel are aware of the relevance and importance of their activities and how they contribute to the achievement of the quality objectives [see 6.2.2.d)].
    TS16994で言っている「品質目標の達成」とは、組織が顧客から契約として示されている「品質到達目標」のことで、いわゆる努力目標的なものとは一線を画していますので、それを踏まえてこの規格を読むと、TS16949をご存知ない方にも、分かり易いかと思います。
    推進事務局だった当時、TS16949は具体的で面白いと感じていた感覚が蘇ってきました。
    中尾さんのおっしゃっている、手間暇の部分がこの要求事項に、ギュギュッと圧縮されて表現されていると感じています。
    TS16949を持ち込んでしまうと、ISO9001ユーザーの声の趣旨から外れてしまったかもしれませんね。すみません。

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