あこがれだった乙仲業務

コンプライアンスに優れた輸出入業者に対して税関が優遇措置を講じているAEO認証制度の寄稿記事がアイソス12月号に掲載される予定ですが、いま、そのDTP作業をやり終えたところです。この記事の最後のほうで著者は、AEO認証を受ける輸出入業者はパートナーである通関業者をきちんと管理しなければならない、と説いています。

通関業者というのは、要は輸出入業務の代行業者のことです。「乙仲(おつなか)」と同義に使う人もいますが、本当は乙仲のほうが業務範囲が広くて、通関業務以外に、港湾荷役や検査・検料、倉庫管理などもやります。私はその乙仲で、19歳のとき、1年間「ぼうや」をやったことがあります。

「ぼうや」というのは「坊や」、つまり大人の仕事をさせてもらえない身分のことです。仕事の内容はパシリです。船積書類を船会社に届けたり、銀行に中身の分からない茶封筒を届けたりしていました。パシリの仕事は、そんなに頻繁にはありません。で、パシリがない時は、机に座って何時間も待機しているのです。

私は1人の年配社員のAさんとともに、乙仲業者として、取引先である繊維商社の貿易部門のフロアーの片隅を間借りし、机を2つ置いて「島」を作っていました。そこで、Aさんは船積書類をタイプし、私はその書類を持ってパシル、そういう日々でした。

Aさんの机の上は、英文の書類だらけです。その風景を見て、最初は「かっこいいなあ」と思ったものです。その頃の私は、英語の書類を読みながら、英語の文章をタイプするというのに、あこがれていたのです。で、私がぼうやをやって数カ月が過ぎたある日、Aさんが私に、英文の書類を見せて、「これはどういう意味だ?」と聞いてきたのです。その時、Aさんは「ローマ字読み」で英文を読んでくれました。英文自体も中学英語の知識があれば分かる内容でした。そのとき「あれっ?」と思ったのです。

その日から、ヒマな私はAさんを観察することにしたのです。Aさんは、LCをじっと見ています。で、ある部分に目を付けます。その部分を見ながら、INVOICEの書類をタイプし、その部分をまた見て、またタイプする、そういう作業を繰り返しています。どうも、今でいう「コピー&ペースト」をしているようです。

Aさんがカゼで休んだ時、私はAさんの机の上に置きっぱなしになっている船積関係の書類をじっくり吟味しました。たとえば、LCとInvoiceとをじっくり比較しながら眺めていると、そこに様式があることが分かります。「LCのこの部分を抜き出して、Invoiceのこの部分に書き込めばいいのだ。これはパターンが決まっているので、中身の英文が分からなくても作成できる。 Price Listだって同じ方法で作れるぞ!」そうやって盗み見をしているうちに、船積書類作成のコツが見えてきたのですが、それと同時に、AさんやAさんの仕事に対する私のあこがれも消えてしまいました。

もちろん、これは30年以上前の話です。ですが、もし私が通関業者を管理する立場だったら、「乙仲丸投げ」だけはしないですね。

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コメント

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  • コメント (3)

    • TOMO
    • 2009年 9月 29日

    そうだったんですかぁ・・・。
    無縁ではなかったんですね。
    先週末、仙台に帰った際、彼の今後のプロデュースについて、打合せしてきました。(当面、私は、無風流&彼のプロデューサーに徹することになりそうです)
    その際に、良い会社、ちゃんとしたMS運営の結果として認証が有る。ISO9001も、AEOも、認証取得はオマケに過ぎない。なんて話をしてきました。
    良い会社の元祖、家元も当然同席でした。

    • 中尾優作
    • 2009年 9月 30日

    TOMOさんへ
    <当面、私は、無風流&彼のプロデューサーに徹することになりそうです
    無風流のプロデューサーとしてはすでに手腕を発揮されていますね。
    ワークショップはすでに満杯の盛況ですし。

    • TOMO
    • 2009年 10月 01日

    先日、家元が感慨深げに、「中尾さんのブログの初期に掲載頂いたワークショップの記事を見ながら、この当時は5〜6人だったんだよなぁ・・・」と。
    > ワークショップはすでに満杯の盛況ですし
    中尾さんの取材記事無くして、今の状況はなかったでしょうね。
    確かに、中尾さんをワークショップにお誘いしたのは私ですが・・・。

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