ヨーガ断食合宿1日目 汗ビショで温泉

午前10時、JR根府川駅に到着。10分ほどして、ワゴン車が駅に着き、若い女性1人と体格の良い白髪の男性(「あひるの空」に出てくるチバさんを老人にしたような迫力である)が降りてきた。二人は握手し合って別れ、女性は東京行きの電車に乗った。「8割以上の方がお一人で参加され、比較的女性の方が多いです」と「ヨーガ断食.COM」のサイトに書いてあったことを思い出した。女性を見送ったあと、チバさんは私のほうを見て、「根府川ヨーガ道場です」と言った。

駅から車で8分程度で道場に到着。男性用宿舎に案内された。先客が1人。すごく人な つっこい笑顔をされる方で、話してみると私より1つ上の56歳だという(悪役ではなく、いい人役で出た時の香川照之がメガネをかけた時の顔によく似てい る)。香川さんは、9日間の参加で、今日はその最終日。明日は夜中に出発して自家用車で帰るそうだ。初日から今日まで、男性はずっと自分1人だったとい う。男はあんまりこんな場所には来ないんだ。

いい人が相部屋で助かった。ふとんは自分でシーツをかけること、夜中は涼しいので掛け布団をそばに置いて寝ること、食べ物はゆっくり食べること、神殿に 入ったら口はきかないことなど、いろいろ教えてくれた。香川さんは、9日間もここにいたからこんな温厚で笑顔が絶えない人物になったのか、それとも元々人 間のできた人なのか。私は5泊の予定だが、私も最終日には香川さんみたいな人間になれるのだろうか。

チバさんがいきなり男性宿舎に入ってきたので、ビビる。今後のスケジュールや設備について説明してくれた。最後に「中尾さんは、オプションに参加しますか?」と聞いてきたので、「はい!」と答えた。

午前11時。オプションに参加する人の集合時刻だ。香川さんは「今日は疲れたので休みます」と言った。うーん、疲れた顔が正岡子規のようだ。参加したの は、私と若い女性の2人。彼女は、昨日から合宿に参加しているという。私とすれ違いで1人帰ったので、今は女性客は1人だそうだ。道場側からは、道場長 (繁本俊哉さん)と若い研修生らしき女性1人が参加。道場長が運転する車で十国峠の登り口まで行く。

車に乗り込むと、大音量でインスツルメンタルの音楽が流れる。そういえば、道場長は若い頃(現在、たぶん道場長は40代前半)、ミュージシャンを目指して いたんだよね。途中、コンビニに寄り、我々客人は飲料水を、研修生はバナナを調達。研修生が車の中でバナナを配ったので、みんなで1本ずつ食べる。

登り口からは、徒歩でハイキングコースを歩く。最初にトレッキングポール(スキーのストックのようなもの)を2本ずつ道場長が配る。このポールを両手で交 互に動かしながら、地面を突いて登るのである。慣れると、リズムがとれて、なかなか快適だ。数十分おきくらいに休みをとりながら登ってくれるので、私も楽 に登れた。昨日から合宿に参加している若い女性は、この山行を難なくこなしている。健脚かつスリムで、言葉の歯切れもよく、動作もテキパキ。BOSS役を 演じる天野祐希をヨーガ的に少しマイルドにした雰囲気を持つ女性。

途中、神社があったので、みんなでお参りをする。賽銭を入れ、2礼、2拍、1礼。オプションでコース上に神社があれば、必ずお参りするらしい。

十国峠の展望台に着くと、そこで昼食休憩。支給されたのは、玄米おにぎり1個と暖かいしょうが湯。ペロっと食べてしまう。「ここの味噌田楽は、食べてもい いよ」と道場長が研修生に言った。研修生はすぐにお店で味噌田楽を買ってきて、道場長と一緒に食べ始めた。するとそれを見て、BOSSも同じものを買って 食べ始めた。私はせっかく断食に来たのだからと思って、我慢する。展望台からは、あいにく雲が多くて富士山は見えなかった。

帰りは下りなので楽勝。麓まで降りて、車に乗ると、今度は温泉へ。奥湯河原の大滝ホテルに連れて行ってくれた。出発前に温泉に行くことは分かっていたので、タオルや着替えはリュックにすでに入っている。汗で体も服もびっしょりなので、温泉はありがたい。

「じゃあ、1時間半後に迎えに来ますので」と道場長はBOSSに伝言して、研修生と一緒に車でどこかへ行ってしまった。私とBOSSは、ホテルのフロント で日帰り入浴券(1,000円)を買い、「じゃあ、1時間半後にロビーで」と言い合って、それぞれ浴場へ。露天風呂もあり、湯当たりもいい温泉だった。

温泉で肌はスベスベ状態。実にいい気分だし、帰りはクーラーの効いた車だし、言うことなし。車で道場に戻ると、香川さんが、ニコニコしながら部屋で迎えてくれ、「いやあ、元気そうですね。初日の山登りなのにたいしたもんです」とほめてくれた。ほんと、いい人だなあ。

早速、私たちがオプションに出かけている間、香川さんはいったい何をしていたのかを聞いた。この道場では、毎日オプションを用意しているが、参加する・し ないは本人の自由。また、フリータイム中でも、根府川駅までの車での送り迎えは、道場側に頼めば対応してくれる。香川さんは、今日は熱海に行ったそうだ。

「熱海で昼食にソバを食べたのですが、出汁が辛くてたまりませんでした」
「へえー、そんなに濃い出汁だったのですか?」
私がそう言うと、隣にいるBOSSが、手を軽く振って、いやいや違うのだよ、という仕草をした。
「やっぱり、9日間もずっとここで薄味の食事をしているから、体がそうなっちゃったんだ」
とBOSS。ああ、そういうことか。

午後6時。待望の夕食。根府川ヨーガ道場は、私たちのような客人に対しては、完全断食ではなく、半断食で対応している。量もカロリーも少ないが、1日3食 (3食分で合計700kcal程度にしているそうだ)出る。今日の夕食は、味噌汁と小鉢の野菜サラダ。汗をいっぱいかいたので、味噌汁がうまい。食事は男 性も女性も男性宿舎で取る。男性宿舎の中にダイニングルームがあるからだろう。

私と香川さんとBOSSの3人で食事をとった。道場側のスタッフは、隣のダイニングで食事を取っているようだ。私がペロッとすぐに食べてしまうと、 「あっ、もう食べちゃいましたね」と香川さんから注意された。二人を見ると、まだ半分くらいしか食べていない。そうだ、ゆっくり食べなくちゃ。忘れてた。

午後7時からは、体操室でヨーガ。ヨーガはまったく始めてだった。私と香川さんが定刻に体操室に入ると、すでにBOSSや研修の女性たちがいて、ヨーガの 先生とにこやかにしゃべり合っていた。先生は、手も、足も、髪の毛も長い女性で、もちろん体が柔らかいので、肢体が糸を緩めたときの操り人形のように、前 にも後ろにも左右にも、ペタン、ペタン、ペタンと床につく。おお、マリオネット!

マリオネットさんは香川さんのほうを見て、「今日で何日目ですか?」と聞いた。
「今日で9日目です。明日の夜中に出発します」
「そうですか。でも、顔が随分すっきりしましたね。それにだいぶ痩せられたし」
「6キロ痩せました」
香川さんがそう答えると、「ロ、ロッキロ!」と女性たちから感嘆の声が上がった。

6キロ程度で驚いちゃあ、いけないよ、娘さんたち。香川照之はNHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』の正岡子規役を演じるため15キロの減量を行ったのだからね。

マリオネットさんは、基本的なやさしいアーサナを中心に教えてくれた。本日の生徒は6名。その中には研修生の女性2名と道場長も含まれている。

道場長も男性なので、股関節はマリオネットさんほど柔らかくない。なので、マリオネットさんが指導の途中で「男性はやっぱり股関節が硬いですね。道場長も 無理だったら、そこでやめておいてください」と注意したりする。すると、道場長も「道場長、道場長って言わないでくれる。『道場長なのにできないなんて、 おかしい』って思われるでしょ。だから、『繁本さん』って呼んでくれる。繁本さんなら、できなくてもおかしくないから」と言い返す。マリオネットさんも笑 いながら、「わかりました。繁本さん」と言う。なかなか家族的雰囲気。いいなあ。

アーサナが終わると、短い休憩を挟んで、20分程度の瞑想。瞑想は、ひどく苦痛だった。とにかくじっと坐っているのが、たまらなく苦しい。足はきちんと組 めなくても勘弁してくれるし、おしりや膝の下に座布団を入れてもOK。なので、足は痛くならないのだが、じっとしているのがつらい。瞑想が終わると、神殿 の建物がある方角を向いて、2礼、2拍、1礼して終了。

ヨーガが終わると、建物から庭に出たところで、みんなでガヤガヤとしゃべる。マリオネットさんは明るく、おしゃべり好きだ。近々、アジア諸国を回ってヨー ガを教えるそうだ。するとマリオネットさん不在の間は、誰がヨーガを教えるのだろう。道場長かな、それともヨーガ断食.COMで講師として紹介されている 繁本明美さんかな。

空を見上げると、星がたくさん出ている。道場長が「この分だと、明日は晴れるな。赤富士、見に行きますか」とBOSSに言うと、BOSSが「行きた〜い!  中尾さんも行かれますか?」と呼応し、私も「行きます!」と返事をして、決行が決まった。明日は午前3時過ぎには出発することに。車で、朝日を浴びて赤 く染まる富士山を見に行く。

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