GFSI

Food Safety Day Japan 2013(最終回) 研究調査機関や認証機関の知見や事例発表

GFSI(Global Food Safety Initiative)主催による「フード・セーフティ・デー・ジャパン 2013」・2日目午後のプログラムの概要をまとめて紹介する。

oosawa.jpg我が国の食の安全への学術的アプローチ
【神戸大学大学院教授・大澤朗氏(写真)の講演】

日本の食のグローバル化が進んでいる。こうしたグローバル化に対して食の安全に及ぼす影響は十分想定されているのか? 大学としては、現場の問題を聞いて、応えようと取り組んでいる。日本の食環境の現況を見ると、海外からほとんど無検疫で日本に食材が入り、そして、その多くがまた他の国に出て行く。食の安全に向けて注意すべき点は、食品の流通・処理・加工過程等を詳細に把握し、相手のいいなりにならない、誰かの流通のせいにしないことだ。みなさん自身で把握していただきたい。

tanaka_miki.jpg食品安全とメディア
【一般財団法人サイエンス・メディア・センター リサーチ・マネージャー・田中幹人氏(写真)の講演】

インターネット登場後、伝統的メディア産業が斜陽化し、科学技術の専門ジャーナリストを雇う余裕がなくなり、ジャーナリスト側も取材の余裕がなくなるという問題が生じている。そんな中、科学とメディアの相互作用を仲介し議論をリードする役割が求められている。サイエンス・メディア・センターはまさに「科学の芯を捉えた」報道をサポートすることを目指しており、具体的には、これから起こる社会的議論の予想・情報整理、科学の社会的な意味についての助言、「伝える」スキルアップの機会の提供などを行っている。

nabeshima.jpg成長するアジア経済における食品安全とは
【日本貿易振興機構 アジア経済研究所(IDE-JETRO) 新領域研究センター上席主任調査研究員/博士・鍋嶋郁氏(写真)の講演】

2010年には、1億2300万ドル相当の食品・農水産品が規制違反として豪州、EU、日本、米国で差し止められた。輸入差し止めとなった理由は、これら食品・農水産品が各国の食品安全規制を満たしていないからである。このような検疫で輸入差し止めとなるケースは氷山の一角に過ぎない。日本で輸入差し止めとなった上位3ヵ国は中国、米国、ベトナムの順である。差し止めの2大原因は、病原性微生物と残留農薬である。差し止めの3分の1が水産品である。食品安全のトレーサビリティを確立するには、垂直統合が必要になってくる。中国・ベトナムにおいて、大手企業では垂直統合を導入し始めており、国としても、より厳格な食品安全基準が採用され始めている。

iruhyun.jpgGFSI承認スキーム 韓国の事例
【LRQA韓国 トレーニングマネジャー兼食品安全審査員 イル・ヒュン氏(写真)の講演】

2012年に韓国HACCPとFSSC 22000の認証を取得した海苔メーカーの事例を紹介したい。2007年創業の比較的新しい食品会社で、従業員は30名と小規模である。自社及び現地OEM生産で15のブランドを有し、米国・日本を含む7ヵ国へ輸出している。FSSC 22000の認証は、米国の大手小売業者から要求されて取得したそうである。FSSC 22000認証取得が取引開始の条件だった。2013年には、米国農務省(USDA)によるオーガニック食品認証も取得している。この会社の売上高の推移を見ると、FSSC 22000の認証を取得した2012年以降も売上は順調に伸びている。2013年の売上高は予想数値だが、前年よりも23%増になっている。また、輸出の売上が全売上高の5割以上を占めている。

kurea.jpgユニフォーム・アプローチ、ベスト・プラクティス、完全なプログラムと監査員/組織の力量
【DNV ビジネス・アシュアランス フード&ビバレッジセクター
グローバルディレクター ステファノ・クレア氏(写真)の講演】

認証の最終的な目標は、すべての関係者にマネジメントシステムが規定要求事項を満たしているという信頼を与えることである。監査での完全性は、専門家意識の基本であり、GFSI承認の認証スキームに関わる監査員の力量は、システムの信頼性の「かなめ」である。またこの認証に関わる利害関係者の協力は改善のための推進力となっている。GFSI承認の認証スキームは非常にうまく実施されており、今後ともDNVを含め、各認証機関が水準を高めるための努力が必要である。

yokoo.jpg意識を変える 〜学びから実践へ〜
【イオン株式会社専務執行役グループ商品最高責任者・横尾博氏(写真)の講演】

小売業は毎日お客様と接している。消費者の替わりに商品を購入して提供する役割を担っている。食のグローバル化はとどまるところを知らない。グローバルな食品安全の取り組みの強化が重要である。食文化は地域で違うかもしれないが、食の安全はユニバーサルなものであり、非競争分野であると思う。継続的に食品安全向上をはかるというミッションで行動しているからこそ、GFSIの活動は世界中から評価されているのだと思う。

日本は欧米と比べ、アジアは認証スキームの取得は遅れていると聞いているが、イオンはどうやってこの仕組みを拡大していくかが課題である。日本ローカルグループはGMPや行政連携など、真摯に取り組んでいる最中だと思う。このGFSIに対する学びから、もう一歩進んで、実際にやってみる段階に入っていると思う。私どももPB商品を多くの食品メーカーにお願いして、提供いただいているが、ややもするとオーバーな監査がルーチン的に行われている。たとえば、1日2回以上監査に対応することが報告されている。本当にこれだけの監査が必要なのかと感じることもある。それがサプライチェーン上の非効率を招いているなら、改善すべき。本来の食の安全管理に結びつける必要がある。

幸い日本のローカルグループはそういうことを議論できる場を提供指定くれていると思うので、こうした改善もしていかなければならない。第三者認証による食品安全の推進は重要である。産地偽装や異物混入があとをたたない。まさにイオンの米の偽装事件がその1つでもある。本日、農水省のHPでもこの記事が掲載されている。原料調達から販売までのフードディフェンスを強化し、消費者に対する正直な情報の公開のあり方について、業界一丸となって対応する必要がある。小さくても一歩を踏み出し、その結果を検証することが大きな流れにつながると思う。今回の米事件に対する発表の仕方、お客様に対する案内の仕方を見直し、あるべきやり方をみなさんに情報提供していきたい。

イオンとUNIDOは、マレーシアでの共同プロジェクトを実施中である。日本でも食品安全のレベルを上げるための能力向上プログラムの導入をはかることが重要と考えている。日本ローカルグループでも同様の実証の取り組みをされている。最後に消費者代理業の一員として、みなさんのご尽力に感謝し、イオンもそのために努力したいと考えている。

最後に、ビデオ「バルセロナ開催世界食品安全会議 2013参加者の声」が上映され、GFSIを代表して、ジェンク・グロルGFSI副理事長とイブ・レイGFSI理事長がそれぞれ挨拶を行い、閉会となった。

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