GFSI

JAPAN FOOD SAFETY DAY 2012 速報(その2)

(JAPAN FOOD SAFETY DAY 2012速報の続き)
昨日の記事に続いて、上記フォーラムの午後の部の内容を紹介する。

【来賓挨拶】
農林水産省 食料産業局 企画課 課長 國井聡氏
消費者庁 食品表示課 課長 増田直弘氏

食料産業局は昨年9月に設置されたばかり。農林水産分野での新産業創出と、食を通じて生産者と消費者との絆を強めるのが主な業務。食品表示課は、適正な食品表示の啓蒙・普及、政策展開を行う。

【ソーシャルメディア時代における消費者の信頼】
The Nielsen Company リテーラー・インサイツ・ディレクター  ジャン・ジャック・ヴァン・デンヒード氏

socialii.JPGソーシャルメディアとは、簡単に言えば「オンラインで人々が会話をすること」だ。どれもユーザーにとってメリットを得るためのものばかりであり、オンラインで話す人の3割は、製品に関する何らかの意見を述べており、彼らの29%は自分の知っている人、つまり友人の言うことを信じるとしている。ソーシャルメディアの台頭によって、これからはますます消費者をコントロールすることはむずかしくなってくる。彼らをコントロールしようと思ってはならない。対応で重要となる姿勢は、「Honest(誠実)」「Open(オープンマインド)」「Authentic(信頼)」「Dialogue(対話)」の4つだ。

悪いことばかりではない。伝えたいことがあれば、インターネットを通じて、じっくり 伝えればよい。テレビCMのように短時間で、しかも膨大なコストをかけて伝える必要はない。どうやってメッセージを伝えるか。ここがソーシャルメディアの 創造的な部分であり、可能性が開ける部分である。

メッセージを伝える際に重要なことは、「Be fast and organized(迅速かつ組織的に)」「Be visible(逃げ隠れしない)」「Be consistent(発言に一貫性を持たせる)」「Be human(人間的であること)」の4つである。

ソーシャルメディアに対して、企業が持つべき姿勢は、「Listen(話を聞くこと)」「Learn + participate(学び、参加すること)」「Leverage(活用すること)」の3つのLである。

【GFSIベンチマーク・スキーム・オーナーによるパネルディスカッション】
モデレーター:
DNV ビジネス・アシュアランス フード&ビバレッジセクター グローバル ディレクター ステファノ・クレア氏
パネリスト:
ファウンデーション・フォー・フードセーフティ・サーティフィケーション(FSSC)会長 コール・グローンフェルト氏
SQFI レジョナル・リプレゼンタティブ オーストラリア/アジア
ビル・マックブライド氏
GLOBALG.A.P. マーケティング&コミュニケーション マネージャー フラビオ・アルズエータ氏

533-DNV.JPG(クレア氏:写真右
GFSI承認スキームは現在9つある。そのうちの4つが製造業向け、3つが第一次産業向けである。GFSIガイダンスドキュメントの最新版は第6版だが、承認スキームのうちの3つはすでに第6版に対応済みであり、残りのスキームも今後対応していく予定だ。

(グローンフェルト氏)
FSSC22000は、ISO 22000にPRPの要求事項をプラスした認証スキームであり、すでに世界で3000の認証が発行されている。地域別の認証数は、アジア、EU、米国でそれぞれ3分の1ずつのシェアであり、日本は全体の7%を占めている。

(マックブライド氏)
SQFは、1995年にオーストラリアで始まった製品認証のスキームだが、ここ数年は米国が一番認証件数が伸びている。アジアの中では日本が一番件数が多い。今年、第7版が発行されており、カテゴリー化されたのが大きな特徴だ。

(アルズエータ氏)
グローバルGAPは15年前、欧州の小売業者によって設立された非営利団体である。農場向けの認証であり、112カ国で認証が発行されている。食品安全だけでなく、持続可能性もみている。新分野として、養殖にも取り組んでいる。

(クレア氏)
ISO 22000とFSSC 22000の違いは何か。

537-LRQA.JPG(グローンフェルト氏:写真左
ISO 22000はISOが規格を作り、その認定・認証制度は別建ての独立した体制になっている。一方、FSSC 22000はGFSIが承認したスキームである。規格はISO 22000にPRPを強化し、サプライチェーン全体に対応できる内容になっている。

(クレア氏)
第二者監査と第三者審査の状況の違いは何か。

(マックブライド氏)
多くの小売業者は供給者に対して第二者監査を実施しており、特に北米ではそうだ。そこに第三者審査が加わることで、より強力な食品安全を守る仕組みになると思われる。

(クレア氏)
認証は貿易障壁になるか、それとも市場を活性化させるものとなるか。

534-GGAP.JPG(アルズエータ氏:写真右
私は以前、スペインの生産会社にいたことがあるが、いろんな小売業者から別々の要求事項を課せられていた。これが1つの要求事項にまとめられ、それさえ対応していれば、どの小売業者にも対応できれば、非常に有効なツールとなる。

(クレア氏)
審査員の力量向上については。

(グローンフェルト氏)
優秀な審査員は規格がなくても審査ができるが、そうでない審査員は規格がないと審査ができない。その分野でどこが重要な管理ポイントになるかを審査員がきちんと知っていれば審査できる。審査員の力量向上には積極的に取り組まなければならない。

(クレア氏)
審査員の力量のポテンシャルが落ちていないか。

540-SQF.JPG(マックブライド氏:写真左
審査員と供給者との関係が重要だ。審査員はただ組織を見るだけでなく、レコメンデーションを出すことが大事である。SQFのスキームでも審査員の力量向上に取り組んでいる。

(クレア氏)
グローバルGAPでは、規模の小さな組織が対象となる場合が多いと思うが、組織の持続可能性をどのように確保するのか。

(アルズエータ氏)
日々農家と接して、彼らの状況を把握し、生産者・消費者両方のニーズを捉えなくてはならない。小さな農家でもグローバルGAPのレベルに達することができるように努力している。

(フロアからの質問)
官民連携の取り組みを紹介してほしい。

(グローンフェルト氏)
官民連携で大きなWin-Winの関係を生み出すことができる。FDAが直接見ることができる組織は、全体の3%に過ぎない。そういう意味で、第三者認証 のアウトプットが、食品安全当局にとって参考になると思う。うまくいけば、当局の検査の回数を減らすこともできるだろう。

(マックブライド氏)
アジアではGFSIのボードメンバーがFDAと共同作業をしている部分がある。今後は官民のコンバージェンスが出てくる。「GFSIには、どうしてよく似 た複数のスキームがあるのか?」という質問をよく受ける。複数のスキームがあることで、スキーム間での競走が起こり、お互いにより良いスキームへの改善が 行われるからだ。それに複数あったほうが、組織側も自分たちに合ったスキームを選択することができる。

【日本ハムグループ品質への取り組み〜OPEN品質〜】
日本ハム株式会社 品質保証部 副部長 宇都佳裕氏

535-JAPANHAM.JPG日本ハムは監査・検査については、安全審査(原材料表示などをチェック)、品質監査、安全検査を実施している。専門技術研修については最終的に社長承認まで至り、承認が下りれば、若干の報酬も出る。当社のアレルゲン検査は厚労省認可を得ている。

昨年3月の東日本大震災後すぐに、当社仕入れ先に対するセシウム検査を実施。牛は全頭検査、豚・鶏肉についてはサンプリング検査を行い、当時から現在に至 るまでセシウムが検出されたことは一度もない。八戸資料工場にも検査に行った。同工場は福島第一原発から400km以上離れており、放射能汚染については 問題なく、また飼料は米国産であった。今回の震災後の対応で、消費者に対しては、正しく理解するための情報を提供することで、信頼を得ることができること が分かった。

【ケーススタディ1:「日本食研」のマネジメントシステム〜3つの特徴をご紹介〜】
日本食研ホールディングス株式会社 常務執行役員 品質保証本部長 片岡和文氏

syoken.JPG日本食研はブレンド調味料と加工調理食品の研究開発・製造・販売を行っており、製造品目は8300あり、その9割は業務用である。従業員は3700名。愛媛 と千葉に本社工場、海外には米国、台湾、中国に現地会社がある。2012年4月に4工場でFSSC 22000認証取得。

取り組みの特徴は3つ。「全員参加」(品質を作るのは工場だけでなく、全社員である)、「実質的な取り組み」(日本食研らしい活動を推進、全社対象の社内 教育プログラム、内部監査員活動を人事考課と連携)、「フレンドシップの理念」(仕入先と一緒に食品安全に取り組む)。今後の取り組みとして、仕入先教育 支援プログラムを導入し、当社と仕入先とが一体となってレベルアップに取り組む。

【ケーススタディ2:「食品安全と企業成長の両立」〜おいしい餃子で人々を健康で幸せに〜】
株式会社ぎょうざの満洲 代表取締役社長 池野谷ひろみ氏

538-mansyuu.JPGFSSC22000 認証取得。毎日食べても飽きない味を目指す。2年後には自社で生産した野菜を使ったぎょうざを提供したい。そのために、現在社員を農家に送って研修を受け させている。定期的に仕入先農家を訪問。社内では部署ごとに衛生管理に関するランキング表を作成。生ぎょうざの賞味期限は製造日+0日、冷凍ぎょうざは製 造日+14日。店舗はオープンキッチンを設備し、お客様から厨房の調理作業が見えるようにしている。

【認証への道を開く〜GFSIグローバル・マーケット・プログラム】
ザ コカ・コーラ カンパニー フード・セーフティ&サプライヤー・クォリティー ディレクター マーク・シュコウスキー氏

532-Coke.JPGGFSI ではグローバル・マーケット・プログラムとして2つのキットを用意している。1つは、製造業向けのもので、2011年1月発行、もう1つは、一次生産者向 けのもので、2012年4月発行。どちらも構造は同じで、基礎、中級、最終レベルの3段階になっており、基礎と中級にはそれぞれチェックリストが用意され ている。このほか、審査員のガイドラインなども含む。これらすべてがGFSIのウェブサイトから無償で公開されており、日本語版も今年12月末には完成す る予定。

このプログラムは、食品安全マネジメントに関して継続的な向上をはかるための3段階のアプローチをとっている。基礎ベルは、最低限の要求事項が書かれてお り、中級レベルではそれに追加レベルが付加されている。一次生産者向けでは、中級レベルではガイダンスドキュメントの60%の要求事項を満たしている。ま た、製造業向けでは、同70%を満たしている。基礎レベルを満たしていることが第三者機関の審査で認められると、次の中級レベルに進むことができる。もち ろん、レベルの高い組織は、最初から最終レベルにトライすることもできる。

すでに世界で400社以上が、このグローバル・マーケット・プログラムをGFSIのウェブサイトからダウンロードしている。一番多くダウンロードしている国は米国である。なお、このプログラムはサプライヤーへの研修にも使われている。

【ケース・スタディー3:食品卸業界での取り組み】
株式会社日本アクセス 食品安全管理部長代行 渡辺敏雄氏

531-access.JPG食品卸業者として全国売上第2位。毎日6000台の当社のトラックが物流で動いている。当社は毎年500工場以上を点検に訪れている。これらはすべて、お客 様の要求事項に沿って実施している。ゆえに点検業務の効率化が課題になっているので、GFSIの活動にも積極的に参加している。輸出業務が拡大する中、今 後はネットワークの構築と食品安全リスクの軽減化の2つが、取り組みの柱となる。

【ケース・スタディー4:かき加工会社の取り組み】
クニヒロ株式会社 品質保証室 課長 西垣内誠氏

536-kunihiro.jpg尾道市に本社がある、広島牡蠣(かき)加工品の製造販売会社。全国のかきの12.5%を扱っている。メトロから第二者監査を受けた。この監査は外資系の第三 者認証機関が代行して行ったものだ。メトロは、監査前にチェックリストを当社に渡してくれたが、その内容が非常に分かりやすいものだった。当社はGFSI 承認スキームによる認証はまだ取っていないが、ISO 9001、14001、HACCPの認証・承認を取得している。海外でのかきの需要は高いので、今後はグローバル・マーケット・プログラムを自社並びに仕入先生産者に活用していきたい。

【閉会挨拶】
GFSI副理事、イオン株式会社 グループ物流責任者、
イオングローバルSCM株式会社 代表取締役社長 ジェンク・グロル氏

(閉会)

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