品質MS

品質方針は「予防」

hiyoshishikaスウェーデンで先端予防歯科を学んだ
熊谷崇さん(写真:酒田市・日吉歯科診療所理事長)の話を聞いて、
「今後、歯医者が生き残る道は予防歯科しかない」
と思い至った歯科関係者は多いようです。
坂出市の久保賢倫さん(久保眼科歯科医院院長)もその一人。
同医院の品質方針は「予防」。
品質目標は、歯科は「歯周病の予防」で、
眼科は「緑内障による失明予防、緑内障の進行予防」です。
歯科も予防が大事だけれども、
眼科もそうじゃないか、というわけです。

ユニークなのは後者の緑内障予防のほうです。
久保さんは勉強されて、緑内障による失明予防、
緑内障による進行予防が可能であることを知り、
そのリスク管理が、数値化(眼圧値や視野などのデータ)することで、
実現できることに気がつきました。
学会で発表すると、緑内障の患者の検査記録をデータ化し、
患者にも見せている例は日本で同医院が初めてだったそうです。
同医院の緑内障予防への取り組みは、
やがて地元の方々にも理解され始め、
2006年には1年に1回しか来院されない方がほとんどだったのが、
2008年になると毎月1回来院される方が増えてきたそうです。

日吉歯科診療所も久保眼科歯科医院も、
業務の仕組みはISO 9001をベースにしています。
久保さんは熊谷さんの話を聞いて、
ISO 9001を取ろうと決心したそうです。
私はこの両者の予防の取り組みを、
ある審査機関の事例発表会で聞いたのですが、
スピーカーを務めた熊谷さんも久保さんも、
ISO 9001の話はほとんどされなかったのが印象的でした。

予防ノウハウを他組織が他分野で展開する、
このような業際的な事例を見ると、
「是正処置を他の部署で水平展開することは予防処置である」
なんていう、TC176国内委員会の解釈がみみっちく感じられます。

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コメント

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  • コメント (2)

    • GAI
    • 2008年 12月 11日

    「是正処置を他の部署で水平展開することは予防処置である」
    TC176国内委員会ではこんな解釈があるのですか。確かに、このようなことを明言した?という行為は、みみっちく感じられますね。
    ちなみに、TS2では「是正処置の横並びは是正処置と言い切った」と言われています。これは、8.5.2「是正処置」のところに8.5.2.3「是正処置の水平展開」として、
    「・・・実施された是正処置および管理を、他の類似のプロセスまたは製品に対し適用すること」
    と入れたのが根拠だそうです(お墨付きの教育機関が言ってました)。
    そこで疑問に思うのが、「じゃあ、TS2の予防処置ってなぁに?」ってことで、8.5.3「予防処置」の項目を見ると、ISO9001のままで実は何の追加要求もされていないんです。そして、IATFガイダンスなるTS2参考文献でも8.5.3項はガイダンスなしとなっていて、何も示していないんですよ(示せていないと言うべきかも)。
    予防処置って一体何だろう? どんな行為なら予防処置って言えるんだろう? そんなことも考えてしまいそうですが、この業界事例が一つの答えなんでしょうね。
    だったら、予防処置と是正処置の違いを、ある程度のところを明らかに超えた処置が予防処置、明らかに下回った処置なら是正処置ってな風に考え、すると、この「ある程度のところ(いわゆるグレーゾーン)」付近は・・・
    まるで、増毛/付け毛/カツラの境界は? 髪の毛がどのくらい抜けたらハゲ? みたいですね(^。^;) アセアセ!

    • 中尾優作
    • 2008年 12月 12日

    GAIさんへ
    <「是正処置を他の部署で水平展開することは予防処置である」
    TC176に2000年版のドラフト執筆のメンバーとして日本人で唯一参加したのが加藤重信さんという方で、この人が公式の規格解説の場でこう発言されていました。
    <TS2では「是正処置の横並びは是正処置と言い切った」
    これはおもしろいですね。話が関連しますが、2000年版の「5.5.2」の参考2に管理責任者は「一人である必要はない」と書かれていますね。発行前にこれが問題になって、「そんなばかな、一人だろう」という意見がアイソスにも寄せられて、仕方がないので飯塚先生に尋ねると、「TC176のチェアマンがちゃんとそう発言している」とのことでした。へえー、そうなのかなー、と思って今度は「お墨付きの教育機関」の社長さんにお聞きすると、「管理責任者は一人ですよ」ときっぱり。当たり前じゃないか、という感じでした。この人がそう言うなら、米国自動車系のTC176の委員は「管理責任者は一人」と思っているんじゃないかなあと思いました。それ以来、疑問が生じたときは、一人の権威に聞くだけでなく、複数の権威に聞くことにしています。
    <予防処置って一体何だろう?
    取材していても、常にこのことは私にとっても疑問です。

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