社会的責任

麗澤大学/中山理学長に聞く  なぜ大学がISO 26000なのか

348-20110601nakayama.jpg麗澤大学(千葉県柏市、中山理学長)は、大学組織において教育研究・社会貢献の3領域で社会的責任を果たすべく、2010年9月にISO 26000(社会的責任)の活用を宣言した。規格発行の2カ月前に活用宣言をしているところに、大学側の気合いが感じられる。

あれから9カ月。取り組み体制もほぼ固まってかな?と思えるこの季節、アイソス8月号(7月10日発行)で、麗澤大学におけるISO 26000の取り組みについて特集を組むことになり、恩田昌彦編集長とともに、中山学長を訪れた。学長の話の中で特に印象に残ったことばを、下記に紹介する

モラルを現代的な切り口で展開
麗 澤大学の建学の精神は「知徳一体」。知識とモラルが車の両輪のように作用して、はじめて世の中の役に立つということです。知識があるだけで道徳心がない と、社会に対する害悪を及ぼします。例えば、オレオレ詐欺。これをやる人は知識はあると思うが、それを悪用し犯罪を犯す。これは極端な例ですが、重要なことは、知識をどのように社会に役立てるかということ。現代的に展開するなら、「持続可能な社会」のために、我々の知識をどう使うかということです。

一方、伝統的な考え方としてのモラルを一貫して持っていても、知識の展開については最先端のものを追究しなければなりません。いくら「モラル」といっても、時代の要請に合わないものは廃れていきますから、モラルを現代的な切り口でいかに展開するかが重要なのです。

社会のシステムを道徳化する
モラルはよく、個人の精神作用として捉えられます。これは非常に重要で、個人が道徳的に立派であることは、大事なことです。ですが、これだけでは足りません。もう1つ、いかに社会のシステムを道徳化していくか、これも重要なのです。この両方がないと、社会は良くならない。

社会をより良い方向へ展開するシステムとして、CSRがありますが、我々はこれを企業倫理研究センターというところで学問的に展開しており、一方で道徳科学教育センターというところでは、教育の中でいかにこれを展開するかを追究しています。

これまでのCSRはコンプライアンスが中心でした。ですが法令を守るというのは当たり前のことで、そこからさらに、もっと社会に良いことをしていこうという のが、最近の社会的責任です。また、これまでのCSRは企業中心でしたが、ISO 26000では、どのような組織も対象になっています。そこで、我々のような大学組織が社会のためにどんな良いことをやっているのかを、ISO 26000を使って検証してみようと考えたのです。それが、我々がISO 26000に取り組むことになった大きな要素です。

教育も国際基準に基づくべき
まだまだ「道徳教育なんて、大学でやるもんじゃない。小・中学校でやるもんだ」という考え方が一般的です。ですが、本当にそれが小・中学校でできているのでしょうか。みんな道徳教育から逃げているだけではないでしょうか。

アメリカは違います。麗澤大学はボストン大学と道徳教育に関して学術交流を結んでいますが、アメリカでは100を超える高等教育機関が倫理・道徳教育を実施しており、日米の差を感じています。「倫理・道徳教育が21世紀の知の構築の重要な一要素である」というのが、アメリカの高等教育のトレンドなのです。

このような点から言っても、これからの大学は、社会的責任や倫理・道徳教育においても、日本の中だけの基準ではなく、国際的に通用する基準に基づくべきです。その点、ISO 26000は国際規格ですから、世界に通用する基準で麗澤大学を見直してみようということなのです。

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