震災寄稿

【震災寄稿 No.4】 震災に関して思いをあらたにしたこと

地震対策を勉強してこられた方からの投稿です。
某自動車部品メーカーから学んだことが報告されています。
ありがとうございました。

震災に関して思いをあらたにしたこと
西日本の製造業勤務のM.K. 著

私は、製造業(自動車部品・OA機器部品)に勤務しています。私の会社および私個人は、これまで幸いにして震災時に被災もしていませんし、特別に何か対応しなければならない状況になったことがありません。したがって、今回のテーマに関して、身をもって体験したことを書くことはできません。説得力不足の文章になりますことは、ご容赦ください。

但し、私はこれまでに会社の地震対策プロジェクトの事務局を担当したことがあります し、お客様である自動車メーカーさんの主催する地震対策研究会へ参画したこともあります。机上かもしれませんが、ある程度の地震対策を勉強してきました し、同じ立場の他社の方々との交流機会にも恵まれました。
そうした経験の中で中越地震の際に、全国的にも報道された自動車部品メーカー(A社と記す)の例から学んだことを以下に記します。実例であるがゆえにたいへん勉強になりました。

震災対応の前提になるのは、①自助・②共助・③公助という考え方です。
震災後は、警察も消防もレスキューもすべてに対して対応することはできません。震災後も震災前も、共通する優先順位の第1位は、「人命第一」です。当然中の当然です。人命が確保されればこその復旧です。

そこで①自助
A社では、事前に、建屋耐震化と設備転倒防止をしてありましたので、従業員がみな無事でした。これが何よりです。多少の被災はありましたが、すぐに対応が可能でした。しかし、周囲は被災していますので、水道などのライフラインが使えませんでした。

次に②共助その1
まずA社は、自社の復旧よりも、近隣住民の支援を優先しました。瓦礫の撤去や、被災した住民への支援活動をしました。つまり、共に助けることから始めたわけです。これは行政は水道を優先的に回してくれたという配慮(公助)につながります。

②共助その2
自動車産業は、部品が1個ないだけで車が作れないため、顧客である自動車メーカーや他の自動車部品メーカーが稼動停止を余儀なくされこともあり、続々とA 社の応援にかけつけました。腕のある職人さん、設備マンたちです。そして、応援部隊の隊長さんの強いリーダーシップと事実の適切な把握により、適切な対応 手段・適切な優先順位づけにより、奇跡的に1週間で生産再開できたというわけです。

③公助
公助は、一番最後なのかもしれません。ですが、公的機関が悪いわけではなく、公的機関も的確に優先順位づけをして、人命・安全にかかわることを最優先にしているからこその一番最後だと思います。

昨今、リスクマネジメントとか事業継続プラン(BCP)を事前に確立するという動きが活発化しています。
これは、とても重要ですし、必要なことと思います。しかし、想定条件という前提がベースになっています。想定外のことが起こるのが緊急事態ですから、リス クの軽減の意味では有効ですが、リスクマネジメント・BCPがあるから大丈夫・安心ということはありません。また、幸い自組織が問題なくても、他組織やラ イフライン・道路などが被災することで、想定どおりにことが運ばないこともあります。

そこで、事前の備えを考える上で、ある意味で大事なのが『健全な覚悟』のような気がします。人間の想定外のことが起きるのが、自然災害です。自然災害によ りリスクマネジメントやBCPがうまく機能しなかったとしても、しくみに対して非難だけしていても何も前には進みません。想定外のことは起きるものだとい う『健全な覚悟』をしておくことは必要と考えます。

その際には、今現実におきている被害の事実を的確に把握し、必要な対応策と、優先順位を、タイムリーに判断するリーダーシップとリーダーを支えるエキス パートたちのアイディアが、とても大事になると思います。実は、これは、みなさんおなじみの品質マネジメント8原則のb)リーダーシップ、c)人々の参 画、g)意思決定における事実にもとづくアプローチに他ならないように思います。

以上をふまえた上でも、震災前(平時)に備えるべきことは、
まず、建屋の耐震化、設備等の転倒・落下防止処置。避難経路の確保になります。しかし、これにはかなりの投資を要することで、奇麗事ではできません。経営 者の意思が必要です。でも、従業員が命を落としてしまうことと比べれば、なんてことはないはずです。人間の命がなくては、何もできません。次に避難場所と 非常備品の確保です。これが各家庭でできていれば、今回の震災後に見られる不要な買い占めもなかったことでしょう。
次は、近隣(住民さん、行政さん)との連携体制づくり。ご近所さんあっての会社ですし、緊急時はもちつもたれつです。
そしてようやく、自社生産ラインの防衛、仕入先のライン防衛になりましょう。

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