日常の気づき

「新しい雑誌ビジネスを探る」 嶋浩一郎氏のプレゼン

東京ビックサイトで7月10日に開催された東京国際ブックフェア専門セミナーの目玉「新しい雑誌ビジネスを探る 〜ユーザーニーズはここにある〜」を聴講したので、ここにその内容の一部を紹介する。討論会はパネルディスカッション方式で、参加者は4人(嶋浩一郎氏/博報堂ケトル・クリエイティブディレクター兼編集者、丸山信人氏/インプレスホールディングス・プロデューサー、鮎川尚史氏/角川グループパブリッシング・経営管理本部事業推進グループ係長、梶原治樹氏/扶桑社・デジタル事業推進チームマネージャー兼経営企画チーム)。この中で嶋浩一郎氏の話が突出しておもしろかったので、同氏のプレゼン内容に絞って、その骨子を紹介する

雑誌メディアのすごさ その1
メディア別に情報の流れを見ると、最初に雑誌や新聞で情報が生まれて、その情報がTVで放映され、さらにそれがWebで拡大するという構図だ。TVの内容 は、雑誌や新聞ネタが多いし、Webのブロガーが書いている内容はTVネタが多い。つまり、雑誌は、いろんな情報の元になっている。

雑誌メディアのすごさ その2
メディアは「欲望の開発装置」って言われるけど、その欲望を一番最初に作っているのは、みんな雑誌。「コギャル」も「公園デビュー」も、みんな雑誌から生 まれたコトバ。つまり、雑誌がコトバを生み出し、それをTVなどが取材して話題になり、それをターゲットにした商品開発が行われるという順番だ。雑誌のコ トバが元で、生活スタイルが生まれ、市場ができるのだ。

雑誌メディアのすごさ その3
雑誌の持つ「多様性」はすごい。例えば、「もつ鍋」をネットで検索すると、第一位にランクされるお店は、本当に一番うまいのか? 50番目に出てくるお店 の「もつ鍋」が結構うまかったりするわけだし、この順位っておかしくないか。だいたい検索する場合、1ページ目に出てくる内容しか見ないだろう。すると情 報の寡占化が起こってくる。雑誌はそんなことはない。編集者の視点で自由に報道できる。

ネットは情報を広げるメディア
ネットから情報は生まれない。ネットは、情報を広げるのに適したメディアだ。だから、雑誌のバリューを、ネットを使って拡散することが可能だ。例えば博報 堂では、発刊50周年を記念した「サンデー×マガジン」や、日本一有名なサラリーマン「島耕作の社長就任式」を企画したが、TVのCMを一切行わず、ネッ トだけを使ったが、大きな反響を呼んで大成功だった。

雑誌記事とネット記事との違い
雑誌は発見のメディアであり、ネットは検索のメディアだ。雑誌は、限られたターゲットだけが分かる記事でよい。若い女性向けの雑誌なら、若い女性にしか分 からない、思いっきりエッジの立った記事を書けばよい。しかし、ネットではそうはいかない。ネットの読者は、雑誌ターゲットの読者よりもかなり幅広い。で きるだけ一般的な表現を使わなければならない。

携帯電話に注目せよ
個人から強制的にお金を徴収できるのは税務署と電話会社だけである。携帯電話で課金されたお金は、間違いなく徴収できる。それに月200〜300円程度の 課金なら、誰もあまり気にかけずに支払ってくれる。それと最近、携帯電話のタッチパネル化が広まっており、テキストデータをPDFにして配信されたものが スムーズに読めるようになってきた。携帯コンテンツで稼がない手はないだろう。それに文字フォントやレイアウトなどにこだわる編集者も、雑誌のフォントや レイアウトをそのまま生かしたPDFなら、抵抗なくデジタルの世界に入っていけるのではないか。また、携帯市場=若者市場と思ってはいけない。キンドル ユーザーの70%は40代以上なのだから。

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