オンライン・アーティスト

「ウェブ時代をゆく」に影響されて(1)

umedasan私がブログを始めようと思い立ったのは、梅田望夫(写真)著「ウェブ時代をゆく」の影響です。中でも、同書に登場するアメリカのオンライン・アーティストたちの話には、胸を鼓舞するものがありました。

プログラマーだったジョナサン・コールトンが、一発奮起してフルタ イム・ミュージシャンになり、自分のブログを開設して、そこで自作の曲のダウンロードやCD販売などで生計を立てるまでの話が出てきます。それは、米「ニューヨーク・タイムズ」紙の記事(2008.5.13)が元ネタになっています。非常に刺激的な記事なので、全文の私訳を掲載したいと思います。ただ、長文なので、6回に分けて紹介することにします。

米「ニューヨーク・タイムズ」紙
2007年5月13日に掲載された記事
「セックス、ドラッグ、そしてブログを更新すること」

その1

ジョナサン・コールトンは、ブルックリンの「ゴリラコーヒー」のシートに腰掛け、アップルのパワーブックを自分の前に開き、その日のメールをせっせと処理し始めた。彼は36歳、ひげの濃いハンサム。2005年9月、彼はコンピュータープログラマーとして勤務していた会社を辞め、妻の収入をあてにしながら、フルタイムのシンガーソングライターになった。そのとき彼は、自分にまったく無茶な目標を課した。それは、週1曲ペースで作品を作り、レコーディングし、自分のブログに掲載するというものだった。

「それは曲作りのためにとった強行なアプローチの1つだった」
彼は、カプチーノの泡立てる音がする店内で私にそう言った。彼は常にフルタイム・ミュージシャンであることを望んでおり、それが根本的な変革なしには実現できないことが分かっていたので、そのアプローチが彼がとるべき唯一の方法だったのだ。
「僕は、まったく何もなくても、歌というのは絞り出すことができるということを学んだ。ただ、いつも簡単で楽しいプロセスとは言えないけどね」

自ら時間制限を課して作り上げた週1回ペースの作品、これは注目すべき商品である。彼の曲はオタクっぽくて、機知に富んだポップ・ミュージックである。例えば「狂ったトム・クルーズ」は、著名なアイドルスターに共感する叙情詩であり、一方、「コードの猿」は、袋小路に陥ったプログラミングの仕事についての哀歌である。

2006年の半ば、彼のあるプロジェクトが大規模の聴衆を引きつけた。1日平均3.000人を超える人々が彼のサイトを訪れ、彼のヒット曲が50万回ほどダウンロードされた。それにより、彼は、ITunesと自らのサイトでのダウンロード曲とCDの販売で、月収3,000〜5,000ドルを稼ぎ、自称「中流クラス」の生活を実現した。

コールトン曰く。
ここに至って、多くの小規模レコードアーティストたちは、気づき始めたようだ。コールトンのファンが、単に彼の曲をタダで聴きたいから、彼のサイトを訪れるのではないことに。

コールトンのファンたちは、彼と友達になりたがっているのだ。これはつまり、ファンは、彼とオンラインを通じて終日交流したがっているということだ。ファンはコールトンのブログ記事に夢中になり、共感したコメントを寄せ、彼が曲作りに困っていると、いつも支援してあげようとする。

1日に何回もEメールを送ってくるファンもいる。その内容たるや、「You rock!」の歌詞から取った簡単な短いラブレターから、力強い情熱的な手紙まである。中でもある男性ファンは、生後6カ月の自分の娘が心臓手術を受けている間、コールトンのラブソングの1つを歌って聴かせたことを手紙に書いてきた。

コールトンは1日に100通ものEメールを受け取るが、そのすべてに返事を書く。だが、その返事はどんどん簡単なものになっていく。無愛想な返事になってきたことについて、彼は今、後ろめたい気持ちになっている。

コールトンはファンの熱狂的な関心を歓迎している。実際、彼はほとんど共生的な方法で、ファンに頼っているのだ。彼は「Shop Vac」(彼が郊外移住者の不安について書いたギター・ポップ・ミュージック)のギター演奏ができなかったとき、自分の役立たずなソーセージのように太い指を呪ったものだった。そして彼は、ブログの読者にレコーディングをやって欲しいと頼んでみた。すぐにオンライン投票が行われ、勝ち残ったソロ演奏がコールトンの曲に挿入された。

コールトンの支援者たちは、彼の仕事をより広範囲にサポートするため、ボランティアで時間をさいている。例えば、クレベラント在住のプロのグラフィックアーティストは、毎週発表される彼の曲のイラストを、無料で描いている。あるファンは最近、コールトンの曲をカラオケで使えるようにフォーマットを施した。2007年6月、コールトンは、自らのサイトのディスカッション・ボードで、自分の音楽でもっとお金を稼ぐ方法はないかと助言を求めたところ、何十人もの人々が議論に入ってきて、コンサートツアーやメディアの管理方法、さらに彼がどんな種類の曲を書くべきかについてまで、そのコツを伝授してくれた。▼

 

(明日へ続きます)

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