ファシリテーション

アダム・カヘンさんのシンポ 速報

213-100405Kahane.jpg世界的な紛争解決ファシリテーターであるアダム・カヘンさん(写真Adam Kahane)をメインスピーカーとするシンポジウム「Power and Love 〜私たち一人ひとりの社会変革〜」が、本日午後、SoLジャパン主催で東京の日本財団ビルにおいて開催された。前半はカヘンさんの講演と会場参加者どうしのディスカッション、後半はワールドカフェ(時間を決めて小グループで議論を数回行い、次の議論に入るときは、参加メンバーの1人だけホストとして残し、残りのメンバーは前回と違うグループに入って、残ったホストは前回の議論内容を新メンバーに報告してから、その内容を発展させる方向で次の議論に入るという討論形式。大事な点は、人の話を傾聴すること、人の話に良否の評価を言わないこと、グループメンバー全員に発言の機会を与えること)を通して、参加者一人ひとりがどのような社会変革ができるかを考えるというプログラムである。カヘンさんによる講演骨子は次の通り。

すべての葛藤の中に存在する power and love
「昨年12月のコペンハーゲン会議(COP15)に参加した時、power勢力とlove勢力の対立が見られた。power勢力は先進国であれば今の地位 を保つため、途上国では生き残るために自己主張し、love勢力はデンマークの議長の発言に見られるように、人間みんながつながっていることを主張した。 これはCOP15に限った話ではなく、世界のすべての葛藤の中にpowerとloveの対立があって、これは普遍的な人間の衝動だ」

powerとloveの両方が必要
「powerというのは、自己実現のこと。loveというのは、もともと1つであったものが切り離されているので、それを1つに戻すこと。powerにも loveにも、『生成』と『対抗』がある。powerが対抗するのは、loveがないからであり、loveが対抗するのは、powerがないからである。 キング牧師が『愛なき力は暴力であり、力なき愛は無力である』と言っている。複雑で手強い問題を扱うには、powerとloveの両方が必要だ」

両方同時には使えない
「人にpowerとloveの両立を言うには、まず自分がpowerとloveの両方を使えなくてはならない。しかし、この両者はディレンマなので、同時 に使うことはできない。ちょうど、左足がpower、右足がloveだと考えればよい。人間はこの両足を交互に使うことによって、スムーズに歩行すること ができる」

使いこなすための3つのステップ
「powerとloveの両方を使いこなすためには3つのステップがある。第一に、この2つの衝動が存在することを認識すること。第二に、人間はこのどち らか一方が強かったり弱かったりするものだから、弱いほうを強くすること。気をつけなければならないのは、強いほうを弱くしたりしないことだ。なぜなら両 方とも100%強くしなければならないからだ。第三に、練習をすること。頭で理解したつもりになっても、実際にはなかなかできないものだ。なぜ、できない かというと恐いからだ。恐いからこそ一歩を踏み出そう」

ナションのように第一歩を踏み出せ
「私のセカンドネームは『モーセ』だ。みなさんもモーセが海を渡った話はご存じだと思う。私はある会議で、ある熱心なユダヤ教徒からモーセの話を聞いた が、そのユダヤ教徒は『本当はモーセが海を切り拓いたのではない。背後からは兵隊が攻めてくるが、目の前には海があるということで、実はモーセもどうした らいいかわからなかった。その時、ナションという若者が海に入っていった。彼の体が鼻のあたりにまで海に浸かった時、海が切り拓かれたのだ』と述べた。私 はこの話が気に入っている。ナションのように第一歩を踏み出さなければならない」

チョイスではなく、ディレンマだ
「power側はlove側の弱い所しか見ない。love側を認め、人とつながらなければならない。一方、love側はpower側の抑圧的な所しか見な い。power側を認め、力がないと何もできないことを認識すべきだ。powerとlove、このどちらかを選ぶのではない。この両者はチョイスではな く、ディレンマなのだから」

ワールドカフェ
休憩をはさんで、このあとリーアン・グリロさん(カヘンさんの同僚)がファシリテーターとなって、ワールドカフェが実施された。1グループ4人で、3回メ ンバーを交替しながらディスカッションを行った。テーマは、第一回目は「自分自身の体験からpower and loveについて語る」、第二回目は「第一回目の議論の中で何が学べるか」、第三回目は「個人として社会改革にどのように取り組むのか」。ワールドカフェ の後、参加者からの感想と、それに対するカヘンさんのコメントがあった。ワールドカフェ後のフロアからの印象的なコメントは次のとおり。

現実のすごいストレスの中でできるか?
「このような平和的な状況の中だけでなく、実際のコンフリクトの中でpowerとloveの両方から実践できなければならない。現実のすごいストレスの中で、どうやって実践すればいいのだろう」
「阪神大震災の時、会社で有給を取って、被災地でボランティア活動をしていた人たちは、本当にpowerとloveの両方を兼ね備えて活動を行っていたと思う」

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コメント

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  • コメント (4)

    • TOMO
    • 2010年 4月 14日

    速報を読み進めるうちに、なぜか般若心経が浮かんできました。
    powerもloveも人の究極の欲ではないかしら・・・。
    その両方を実現したとされる“阪神大震災の時、会社で有給を取って、被災地でボランティア活動をしていた人たち”は、その後会社の中でのpowerはどうなったのでしょうか・・・。
    もとより、そんなところに、powerを求めていないのだとしたら、そこにストレスは無いでしょう。
    ずーっと後で振り返った時、それが、powerとloveの両立だったのか、loveゆえの行動だったのか、powerゆえ行動だったのか・・・。
    もちろん、私は欲をたくさん抱えています。はい。

    • 中尾優作
    • 2010年 4月 15日

    TOMOさんへ
    <その後会社の中でのpowerはどうなったのでしょうか
    ボランティアに積極的で、日頃の仕事もデキルっていう人もいれば、当日のフロアーからの発言の中にもありましたが、ボランティアの時だけがイキイキする人もいるようです。非日常も日常も同じようにできる人というのは、たぶんバランスがとれているのでしょうね。
    <もちろん、私は欲をたくさん抱えています。はい。
    いいですね。私はもともとpowerもloveも弱いので、その強化のために今回参加したようなもんです。ちょっと元気になったと思います。

    • TOMO
    • 2010年 4月 22日

    中尾さんへ
    ちょっと亀レスですが・・・。
    「バランス」とても大事ですよね。
    私は、決してバランスが良い方ではないので、ちまちまと悩んでいたりします(私をご存知の皆さんには、そんな風には見えないかもしれませんが)。
    いろんな悩みは、結局は自分にかえりますが・・・。

    • 中尾優作
    • 2010年 4月 22日

    TOMOさんへ
    いろんな悩みは、結局は自分にかえりますが・・・。
    「自分にかえる」とは「自分の身になる」という意味でしょうか。
    なによりです。きちんと是正ができている証拠だと思いますよ(笑)。

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