経審改正で建設業のISOは再燃するか

いそいそフォーラムのある方の投稿に刺激を受け、国土交通省総合政策局建設業課に取材に行ってきました。来年4月1日に施行される新経営事項審査(経審)関連省令で、ISO認証登録が経審に加点されることになったので、それが建設業のISO認証にどのような影響を与えるかを探るためです。

すでに国交省には、1996年から2004年まで続いたISO 9000適用工事に見られたような、ISO認証取得を奨励するようなマインドはありません。経審で全国一律にISO認証を評価することで、現在発注者(国、都道府県、市町村などの公共工事発注者)別評価でISO認証登録が加点されていることによる事務の重複・負担を軽減するのが今回の改正の意図です。

ただ、経審で評価されることになったからといって、都道府県等が現行の発注者別評価をやめるとは限りません。なので、経審改正によって、発注者別評価をやめるところと、やめないで継続するところが出てきます。通常、入札業者のランク付けは、経審の評価点と発注者別評価点の合計で評価しますから、後者の場合はISO認証登録を二重に評価することになります。

とうことは、発注者別評価で非常に高い加点(10点以上など)をしている都道府県等で、それをやめて経審一本でISO認証登録を評価する(経審ではISO 9001で5点、ISO 14001で5点です)という場合でない限り、今回の経審改正によって、ISO認証登録の評価点が上がる場合はあっても、下がることはないことになります。だったら、今回の経審改正で、建設業のISO認証がまた再燃するのではないかと思われる方もあるでしょう。

しかし重要な点は、肝心の経審の登録が年々減少していることです。ISO認証登録の評価する母体の数がどんどん減っている状況の中では、建設業のISO認証件数が一気に上向きになる可能性は低いと思います。ただ、公共工事の入札を今後も続ける意思のある建設業者で、かつISO認証を取っていて、今後更新をやめようかと思っているところは、思い留まるのではないでしょうか。
(詳細記事はアイソス2011年1月号に掲載)

4件のコメント

  1. こういう取材を真正面からしてくれるのが、
    中尾さんのいいとこなんだよなぁと思います。
    けっこう、まともに答えてくれるものなんですねぇ。
    >事務の重複・負担を軽減するのが今回の改正の意図です。
    国民や建設業者のためではなく、自分たちのためというか、
    評価責任を部分的にISO規格やその認証スキームに押し付けて
    いるように感じます。
    >ISO認証取得を奨励するようなマインドはありません。
    経産省じゃなくて、国交省のやることですもんね。
    ともあれ、どんな政策も運用のしかたしだいで、吉にも凶にも
    でますので、納税者として見守っていきたいと思います。
    とりあえず、建設業界への認証機関による営業攻勢が始まることでしょう。

  2. <とりあえず、建設業界への認証機関による営業攻勢が始まることでしょう。
    私もそう思います。2004年以来の公共工事がらみのネタですからね。

  3. 初めてコメントさせて頂きます。
    中尾さんが取り上げてくださった事が嬉しいです。
    今、国交省の方向性が見えない中で建築部門だけだった為
    個人的には「誰が得をするのかが見えない」と感じていました。
    国交省管轄の物流業(倉庫・運輸)はISOを流す企業も多いです。今年の倉庫会社に対し、米備蓄米の入札も結局は元・お国企業。
    EMSはハードルが高いから、「とりあえずグリーン認証でいいか」といった企業も「アピールの為か?」と思いたくなります。
    今回、建設だけではなく、倉庫・運輸も範囲に入れて欲しかったです。

  4. 少しはお役に立ったようで、嬉しいです。
    今後ともどうぞよろしくお願いします。

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