「あるべき姿」を描いたマネジメントシステム(MS)を「仮想MS」とし、一方で実際に動いている現実のMSを「リアルMS」とします。その仮想MSをリアルMSで具現化するためのツールとして、山上裕司さん(写真:株式会社イノベイション代表取締役)は「クリーンな問いかけ」を推奨しています。
「クリーンな問いかけ」とは何でしょう?
アイソス2013年3月号に掲載された山上さんの記事を引用しながらご紹介します。
ある天気が良い日曜日、家族全員がたまたま揃っていたので、お父さんがこう切り出しました。
「今日は天気が良いから、外出には絶好の日だ。ついては家族全員でドライブに行こうと思うのだが、どこに行ったら良いのか、みんなの意見を聞かせてくれないか?」
一見、家族全員の意見を聞こうとしているオープンマインドな問いかけのようですが、実はこの問いかけには、いくつかの前提が含まれています。
- 天気が良いと外出すべきだ。
- 外出する時は、ドライブをするべきだ。
- ドライブは、家族全員でするべきだ。
このような問いかけをすると、家族はお父さんが暗黙のままに立てていた前提を攻撃するでしょう。「ええ、ドライブ? いやだ」「外出したくない」「僕は用事がある」等々。
これが職場だったらどうでしょう。みなさんは前提を含んだ下記のような問いかけを相手にしていないでしょうか。
「これは○○するしかないと思うけど、どう思う?」
「MSでは○○というルールだけど、なぜ、その通りにしないの?」
「分からないことがあったら、なぜ聞かないの?」
これらの問いかけから、前提を除くと、例えば次のようになります。
「何が良いと思う?」
「MSでは何を行うといい?」
「何が起きたの?」
こういった前提を除いた、クリーンな問いかけには、次のような3つの効果があります。
- 問われる相手が、話題について、オーナーシップを持つ。
- 問いかける側、問われる側の間で共通認識と信頼が得られやすい。
- 問われる相手の納得感が高く、行動が俊敏になる。
仮想MSからリアルMSに至る経路を開くためには、継続的にクリーンな問いかけを駆使しながら、組織の人々と共に伴走していくのが良いと思われます。
この「クリーンな問いかけ」を演習を通じて身につけるセッションを、アイソス主催で2013年5月17日(金)10:00〜17:00、東京で開催するこ とになりました。セミナータイトルは「マネジメントシステムを動かす「うまいやり方」 ISOファシリテーション Ver.2 〜変えるべきは、MSではなく、その動かし方〜」。
本セミナーは、クリーンな問いかけのスキル・能力を身につけ、MS管理責任者・MS推進担当者の「MS推進力」向上をはかるのがねらいです。具体的には講 義及び演習を通じて、方針展開、顧客価値分析、リスク分析、内部監査、マネジメントレビュー、是正処置、日常の会議等、様々な場面でクリーンな問いかけを 簡便に適用するモデルを提示します。
*本セミナーは満席になりました。(2013.4.10)
このセッションは、背面(聞く側)から言えば、「クリーンではない問いかけを浄化する技術」を磨くという効果があると考えます。
問いかける側だけでなく問いかけられる立場も含めてこのセッションを膨らませると、一粒で二度おいしい効果が期待できると言うものではないでしょうか?
お゛ーっ!妄想が湧いてきたぁ!
おおっ! なんという素晴らしいグリコ的提案!
「問いかけられる側」の視点も忘れずに、ですね。
お゛ーっ!元気が湧いてきたぁ!