「6.2.1 一般」

今日から「6 資源の運用管理」に入っていきます。
「6.1 資源の提供」には2008年版での変更はありません。
「6.2 人的資源」の「6.2.1 一般」では、「製品品質(product quality)」が問題になりました。
今から10年前、いそいそフォーラムの第1回目のオフ会が大阪で開催された時、プレゼンターの辻井浩一さんが会場の方と、次のようなやりとりをされたのを覚えています。
「製品の品質には、どのような種類があるかご存知ですか?」
「はい、『当たり前品質』と『魅力的品質』です」
「おおーっ! 品質をよく勉強されていますね」

そうなのです。
一口に「製品品質」といっても、「当たり前品質」もあれば「魅力的品質」もあるし、そのほかの「○○品質」を想定する人もいるでしょう。そこで「製品品質」の定義を明確にしてほしい、というユーザーの声がISOに寄せられました。なので、2008年版では「製品品質」を「製品要求事項への適合」に置き換えました。

で、「製品要求事項への適合に影響を及ぼす要員」とは、どの範囲の人まで含めるのかという問題が起こってきます。よく日本でも議論されるのは、総務とか、経理とかの部門は、品質に直接関係ないから、要員には含まれないという意見と、間接的には影響があるから含めるべきだとする意見です。規格の意図は、最終的な判断は組織自ら決めることである、としていますので、ISOでは注記を設けて、製品要求事項への適合は、要員によって直接的、又は間接的に影響を受ける可能性があるとしました。つまり、要員の中に、直接影響を及ぼす人を含めるのは当然だが、間接影響を及ぼす人を含めてもいいし、含めなくてもいい、それは組織が決めることだ、というわけです。

「製品要求事項への適合」への変更は「6.2.1」だけではなく、規格の中に5個所もあるので、下記にまとめておきます。
原文はISO/FDIS 9001:2008で、2008年版になって、下線が追加された個所、横線が削除された個所です。日本文はJIS DRAFT 9001:2008です。

6.2.1 General
Personnel performing work affecting conformity to product quality requirements shall be competent on the basis of appropriate education, training, skills and experience.
製品要求事項への適合は影響がある仕事に従事する要員は、関連する教育、訓練、技能及び経験を判断の根拠として力量がなければならない。

NOTE
Conformity to product requirements can be affected directly or
indirectly by personel performing any task within the quality
manegement system.

注記 製品要求事項への適合は、品質マネジメントシステム内の作業に従事する要員によって直接又は間接的に影響を受ける可能性がある。

6.2.2 Competence, training and awareness and training
a) determine the necessary competence for personnel performing work affecting conformity to
a) 製品要求事項への適合に影響がある仕事に従事する要員に必要な力量を明確にする。

8.1   General
a) to demonstrate conformity of the product, to product requirements,
a) 製品要求事項への適合性を実現する。

8.2.3 Monitoring and measurement of processes
NOTE
When determining suitable methods, it is advisable that the
organization consider the type and extent of moitoring or measurements
appropriate to each of its processes in relation to their impact on the
conformity to product requirements and on the effectiveness of the
quality managements system.
適切な方法を決定するとき、組織は、製品要求事項への適合性及び品質マネジメントシステムの有効性への影響に応じて、個々のプロセスに適切な監視又は測定の方式及び程度を考慮することが望ましい。

なお、「製品要求事項への適合」という表現は、2008年版になって初めて出てきたものではありません。2000年版でも「6.3 インフラストラクチャー」「6.4 作業環境」「8.4 データの分析」に使用されています。