父の死

17年前になります。
昼間、ベンチにすわって、ぐったりしているところを、
巡回中のおまわりさんがみつけてくれました。
すでに息はなかったそうです。
ベンチの横には、父の自転車が立ててありました。
心臓が弱かったので、
たぶん心臓麻痺だったのではないかと言われています。

父は若い頃、蝶の熱狂的なコレクターでした。
春から秋にかけて、
週末になると捕虫網を持って蝶の採集に出かけました。
捕まえた蝶は三角紙に入れて保存します。
三角紙に入った蝶を展翅する作業は、夜、裸電球の下で行われました。
蝶の胴体をピンセットでつまみ、鍋に入れたお湯に近づけます。
すると、死後硬直して閉じられた羽がゆっくりと開き、
美しい模様が現われるのです。
兄や姉や私や、若かった母は、
それを見て、歓声をあげたものでした。

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