エラープルーフ 容易編 その1(中尾家の場合)

社会人になったばかりの頃
お客さんのゴルフ接待で
ゴルフ場までを往復する
貸切バスの添乗勤務を
上司から命じられた

出発前に人数を確認する
私が人差し指を出して
乗客を数え始めると
すぐに上司が
「指で数えるな」
と耳打ちしてきた

指を引っ込め
今度は目で追いながら
「1、2、3・・・」
と声で出して数え始めると
すぐに上司が
「声も出すな」
と耳打ちしてきた

指差しなしで
声も出さずに
正確に数えるのは
慣れないとむずかしい

特に途中のトイレ休憩で
数え間違えたまま
出発してしまうと
大変なことになる
乗客の人数確認は
気を遣う仕事だ

始発電車を待っていると
車掌が指差し呼称してから
ドアを開けるのを
見ることができる

いいなあ
指を出せて
声も出せて
いまだにそう思う

昨年暮れに乗った
スキーツアーバスで
添乗員が私たちの頭を
人差し指で差しながら
声を出して数えていった

数えられる側からすると
気持ち良いものではない

上司は正しかった