ISOの修羅場

shuraba「社長、私らは会社の仕事を優先してやったらいいんですか、
それともISOの仕事を優先してやったらいいんですか?」
お酒も入ったせいか、
先代社長の時代から働いている工場長が、
社内の懇親会の席上で社長にこう言いました。
認証取得準備で社員の仕事量が増え、
なんでISOのために、という声が社内に充満してきた時期でした。

 

もとより社長の頭の中には、
ISOの仕事と会社の仕事、
そういう区別はありません。
小さな町工場の生き残りをかけてISOを導入しようと考えていました。
「ISOの仕事を優先してもらって結構です」
社長はそう答えました。

すると、工場長は、その場にいたみんなに向ってこう言いました。
「おい、聞いたか? ISOの仕事を優先していいんだってよ」

社長はもうここで完全に切れていました。
「ええ、そうです。
その結果、会社のほうの仕事ができなくて残ってしまったときは、
その仕事はすべて私がやります。
でもね、私もその人はそれだけの能力しかない人だとみなしますよ」
若い社長と古参社員との、一発触発のにらみ合いになりました・・・

「もう、10年以上前の話です。私もその頃は若かった」
取材後、居酒屋でビールを飲みながら、社長はそう言いました。

ISOに長年携わったコンサルタントなら、
「そんな話なら、私もいくつか知っている」とおっしゃるでしょう。
そう、これは、よくあるISO認証取得時の修羅場の話です。
珍しい話ではありません。
ですが、個々の組織にとっては、
1回こっきりしか経験できない
大事な通過儀礼です。
社内でずっと語り継がれる話です。

3件のコメント

  1. イソハドーグです。中尾さん、まいど。
    ある意味、この一発触発のにらみ合いは、うらやましく思います。
    社長も古参社員も各々の立場から真剣に仕事に向き合っているわけです。
    その真剣さがうらやましいです。
    もし、私がこの社長の立場だったら、何というのかな?
    経営者の経験がないので、ちょっと想像がつきません。
    私の勤務先では、かつてISOの業務と会社の仕事が分離していたときも、
    誰もこんなに真剣に議論せず、陰で愚痴るくらいでした。
    会社に余裕があったのでしょうね。
    私は、この修羅場を経験することができませんでした。
    会社の仕事が、ISO規格に適合するようにしくみを見直しして、
    5年ほどたちました。
    昨今の景気低迷で会社に余裕がなくなっても、
    ISOが悪者にならず、むしろ改善のツールにすることができて、
    よかったと思います。
    5年前のISOの業務と会社の仕事が分離していた状態が今も続いていたら、
    今頃、ISO認証返上モードになっていることでしょう。

  2. イソハドーグさんへ。まいどおおきに。
    私はてっきり、一発触発のにらみ合いというのは、どちらかというとうっとおしい経験で、誰しもが避けたいと考えているものだと思い込んでいたのですが、イソハドーグさんのように前向きにとらえると、全然違って見えるのですね。
    5年前の見直しの話、いつか、じっくりきかしてもらわんといかんなあ。

  3. イソハドーグです。中尾さん、まいど。
    5年前の見直しの話のあらすじは、アイソス2007年4月号くらいの
    26〜29ページあたりで、かいまみえるみえるかも(^^)
    大阪の地で、お話しできることでしょう。

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