【震災寄稿 No.7】 震災後の小さな出来事

仙台で貿易管理のお仕事をされておられる方から寄稿いただきました。
震災直後の街の出来事が記されています。
ありがとうございました。

震災後の小さな出来事
坂内 著

震災による被害は、多くの方が詳しく伝えて下さっているので、ここでは触れないでおこうと思います。今日は、震災後に街で起きた小さな出来事についてお話をさせて下さい。

震災直後、物流網が寸断され被災地に深刻な物不足を引き起こしました。ライフライン の全てを失った街は、13日から真冬並みの寒気に包まれ、早くも燃料枯渇が懸念され始めました。水、食料、燃料、尽きたら終わりです。カップラーメンが非 常食に適してるなんて幻想もいいところ。カップラーメンが食べられるのは水も火もある恵まれた人です。これが「ライフラインを失うこと」の現実です。

大学生の息子は、震災直後から以前勤めていたバイト先の大手薬局チェーン店で開店準備のためにお手伝いをしていました。食品や日用品を売る大規模店がいち 早く復旧することは、人々の最も待たれるところです。宮城県のボクシング ライト級チャンピオンの経歴を生かし?お客さんの誘導兼やんちゃなお兄さん達を追い返す係を担当。そんな中、身長150cm位で腰の曲がった齢80を超え たと思しきお婆ちゃんが、お店にみえました。着ている服からあちこち綿がほころび出ていたといいます。「介護用のオムツと食べ物を売って下さい」と申され ました。しかし外は、既に閉店の案内を出しており群衆の不満が爆発寸前という状態です(4時間待ちが当たり前という状態)。

「申し訳ありません」とお断りをすると、「もう、米も食べ物もなくて・・・」と俯かれます。裏口から食品の一つも渡してやりたいと思っても他人に見られた ら暴動に発展しかねません。唇を噛みしめ心の底から頭を下げました。「すみません・・・本当に、本当にごめんなさい」帰って行く老婆の背が滲んだそうで す。

物資は豊富にありながら物流が機能せず人々の暮らしが成り立たなくなっていくという現実。日本関税協会主催の中国貿易セミナー等を担当される岩見辰彦先生 とお話をさせていただいところ、震災復興に肝心の物流業者はいつも蚊帳の外、陸海空の様々な輸送のノウハウを持つ業界の力を効率よく活用すべきと提言され ていました。私も微力ながら岩見先生の提言を行政に働きかけていこうと思っています。

とりわけ社会的弱者にもっと手を差し伸べていく必要性を感じます。皆様からの応援が、被災者の方々の何よりの励みになります。これからもよろしくお願い致します。