アイソス日記でアップしてきた飯塚悦功さんのビデオ「飯塚悦功プロジェクト」の目次を作成しました。簡易目次と詳細目次の両方を作成しています。タイトル右横のブログをクリックすると、掲載当日のブログ 記事に、YouTubeをクリックすると、YouTubeにアップされたビデオ画面に飛びます。
飯塚悦功プロジェクト 【簡易目次】
0. 概要説明 ブログ
8. 設計の不具合は、ほぼ予測できる ブログ YouTube
10. 設備のトラブル防止・保全設計 ブログ YouTube
11. ソフトウェアの産業競争力向上論 ブログ YouTube
飯塚悦功プロジェクト 【詳細目次】
0. 概要説明 ブログ
2008年10月8日午後、飯塚悦功さん(東京大学大学院工学系研究科教授)を東大の飯塚研究室 でビデオ取材しました。取材内容は、飯塚さんがこれまで取り組んでこられた学問体系の総称である「システム解析工学」の理論と実践です。
飯塚さんが大学に奉職し、日科技連の品質管理コースの講師を務める中で、製造工程で統計的手法を使って改善していくことよりも、むしろ設計段階で予測しながら問題解決していく方が、より重要ではないかと考えるに至るまでを紹介しています。
専門的な知識コンテンツが幅をきかせる大学において、「品質管理は学問じゃない」といった逆風に悲哀を感じながらも、知識コンテンツをうまく使いこなす支援技術はバカにならないし、「品質管理」というのは、まさにその方法論なんだ、と飯塚さんが語ります。
飯塚さんが品質管理を通じて「目的志向」を知らず知らず叩き込まれていった過程や、家に卒業生が集まって「頭の良さ」について議論を続け、「最高位の頭の良さは目的を理解することだ」と結論する話など、まさに「体験的」システム解析工学論が展開されています。
飯塚さんがシステム解析工学の5つの「関心事」について、それぞれ解説しています。見所は、「その1 関係」の中で、「ソフトウェアの品質 管理はなぜ難しいのか」について、手振りを入れて熱く語っておられるところです。
今回の映像は、構造化知識工学の基本となる「ABC構造」、すなわち、Aという性質を持っているものが、Bという条件にさらされると、Cという不具合モードが起こる、という考え方が生まれるまでの経緯が語られています。
今回の映像では、「過去のトラブルを思い出すこと」を喚起させるチェックリストの話、優秀なエンジニアは頭の中で思い出す作業をやっている話、その作業をルールにする標準化の話、という3部構成で「予測」を解説しています。
トラブル予測手法の1つであるFMEA(Failure Mode and Effect Analysis)。飯塚さんはFMEAが大好きで、人間の思考方法にぴったり合っているすごい手法だと絶賛しています。ただ、 FMEAの本質をうまく説明した教科書がまったくないとのこと。
8. 設計の不具合は、ほぼ予測できる ブログ YouTube
前半部では、FTAや特性要因図はトップダウンなのでうまくいかない、やはりボトムアップ指向のFMEAでなければダメ、という話。後半部では、設計不具合をほぼ予測し、計画の不備を実施前にほぼ検出する方法論を確立することは可能であると語ります。
病院に対して「品質管理の手法を導入するだけで、医療安全・安心の底上げができる」という確信のもと、PCAPS(患者状態適応型パス)とQMS-H(Quality Management System for Healthcare)という2つの手法が導入される経緯を話してもらいました。
10. 設備のトラブル防止・保全設計 ブログ YouTube
映像は3部に分かれており、冒頭は設備の状態維持設計に取り組んだ理由が述べられ、続いて、状態維持の品質管理のむずかしさが説かれ、最後に、ある方が取り組んだトラブル予測のシミュレーターの話を紹介しています。
11. ソフトウェアの産業競争力向上論 ブログ YouTube
飯塚さんは、ソフトウェア工学の分野は画期的な技術があるようでないので、日本は純粋に技術で勝負するよりも、その技術をうまく使っていくためのマネジメントに力を発揮したほうがいいのではないか、日本人って、そっちのほうが得意だと思う、と提言しています。
前半は、クレジットカードの「なりすまし」の対抗策にシステム解析工学を活用した話です。後半は、ISOマネジメントシステムとシステム解析工学の関係が語られ、特に TQMの標準化政策として生まれたJIS Q 9005/9006の開発経緯の話がおもしろいです。
飯塚さんの品質思想の原点となった体験談が今回のビデオに登場します。飯塚さんのへ のインタビューは3時間半にわたって行われたのですが、このくだりが出てくる約8分間が一番話に熱気がこもっていたように記憶しています。
2003年11月、飯塚さんが日本品質管理学会会長になった時の就任演説で発表した「Q-Japan構想」が今回のテーマです。Q-Japan構想の三本柱である「精神構造」「競争力」「社会技術」への思いを語っておられます。
最後に、飯塚さん個人における学問上の課題と社会的課題について。学問上の課題は、まっとうな目的を設定するための方法論を極めること。社会的課題は、これまで自分を育ててくれた社会に対して恩を返すこと。特にお国のために返したいとのこと。