目的はなく、目標だけがある、大丈夫か?

20150730_narasaki.jpgアイソスに「2015年 ISO 14001はこう変わる」という連載記事があります。タイトルからは、ISO 14001:2015は現行規格とどう違うのかを解説した記事をイメージしがちですが、そんなことはあまり書いてありません。著者である楢崎建志さん(写真:大阪にある認証機関・新日本認証サービスの社長、日本におけるEMS審査の草分け的存在です)が若い頃営業で苦労した話とか、ドラッカーのマネジメント論が出てきたりします。現行規格との差分を逐条的にすぐに知りたい方にとっては、この連載はおもしろくないでしょう。ですが、規格が意図する大きな方向性を摑みたいと思っている方には、「なるほど!」と納得する場面がいくつも出てくるはずです。

9月号の記事では、「目的」と「目標」の違いについて述べておられます。「目的とは、最終的に達成したいイメージを、絵や言葉で表すことです」「一方、目標とは、ISOも言っているように、判定可能でなければならないのであって、抽象的になってしまう目的を分かりやすく表現したものです」と定義し、具体的な例として、「将来の起業の力をつける」という「目的」を立てたのなら、そのために「1年後にハーバード大学ビジネススクールに入学してMBAを取得する」など、目的を達成するための途中経過を示すマイルストーンとして、分かりやすく数値化された形が「目標」となります。

楢崎さんは「世間のビジネス書では目標達成をうたものが多いわけですが、そもそも目的が何かという最も大事なことが議論されることがありません」と嘆いています。同じことがEMSの世界でも起きていて、「ISOの現場でも、『電気消費量を10%へらす』と設定されます。その結果、実に多くの方が、『目的』という存在を知ることなく、安易に設定した『目標』に向かった結果、モチベーションも上がりません。それは『目的』について考えられることがほぼないからです」と指摘しています。

先ほど、「将来の起業の力をつける」という「目的」を立てた例を紹介しました。では、起業に成功したら、どうするのでしょう。楢崎さんは「企業に成功すると、『何のために起業したのか』を問う必要があります。目的のレベルアップです。ISOはこのことを『継続的改善』と呼んでいます」としています。そうかあ、継続的改善って、目的のレベルアップのことなんだ、と私も大いに納得しました。

最後に楢崎さんは警告しています。「大抵の場合、『目的』はなく、『目標』だけがある。となれば、目標という数字にモチベーションが上がるはずもなく、一瞬やる気になってはすぐに嫌になってしまう。こんな人が多いのですが、あなたは大丈夫ですか?」