ダイキン工業のSSM

ダイキン工業滋賀製作所のSSM(不具合発生のメカニズムを未然防止に活用するための知識構造モデル)を取材しました。滋賀製作所はルームエアコンを主に生産しており、「TPM特別賞」や「大野耐一賞」などの受賞経験を持つ名門工場で、未然防止についてはFMEAやFTAなどを駆使して取り組んできました。ただ、設計に未然防止情報を的確に取り入れることは至難の業であり、同社も苦労しておられます。そんな折、5年前に田村泰彦さん(構造化知識研究所代表取締役)が提唱するSSMに巡り会い、今それにハマッているとのこと。

 

SSMについては、最近田村さんが新書版にまとめられましたので、詳細はそれを読んでいただくとして、最大の特徴はやはり、不具合情報を「原因→結果」の最小ユニット(「分節」と呼んでいます)に分解し、それを必要な分だけ組み合わせて再利用するという仕組みにあります。

たとえばOリングで「シール部漏れ」という不具合モードが起きたとします。それを、SSMの5つの要素(【 】内で示しています)を使って分節に記述すると次のようになります。

Oリング【定義属性】の設計において、Oリングの硬度やつぶし代が不足【制御属性】していると、シール面圧が不足【ストレングス】するので、シール部圧力が過大【ストレス】になると、シール部漏れ【不具合モード】が発生する。(前掲書からの抜粋)
ダイキンさんを取材しておもしろいと思ったのは、この分節の数を指標にしておられることです。「このチームは、分節件数が100件を超えた! えらい!」といった感じです。な ぜ分節件数が増えれば「えらい!」と評価されるのかというと、「分節の数が100件を超えたあたりから、他の不具合モードとの関係が見え始め、分節を書き 出すコツもわかってきて、FMEAを書くスピードも速くなってきます。そうなるともう、仕事がおもしろくてしようがなくなるのです」(岡田慎也・滋賀製作所長)とのことです。100件が1つの目安になっており、これを超えてからは、本格的な業務レベルに突入します。

とにかく分節数で100件を超えることが大事なのですが、5つの要素自体についていつまでも議論を続けたり、どの要素に何が入るかをいつまでも考えたりし て、なかなか分節数が増えないチームもあります。そういったチームは、いつまでたっても不具合モードの連鎖が見えてこないし、分節を書くのも早くならない ので、次第に仕事もおもしろくなくなってくる、つまり悪循環に入ってしまいます。

まずは理屈抜きで取り組んでみて、うまくできなくてもできる範囲でいいからやってみて、とにかく到達点まで登ってみる。すると、今まで見えなかった新しい景色が開けてくる。こういうことって、SSMに限らず、ありますよね。(詳細はアイソス2009年2月号に掲載予定)

 

写真はSSM取材に対応いただいたダイキン工業滋賀製作所の方々、左から岡田慎也さん(滋賀製作所長)、上野史人さん(開発管理G)、門脇一彦さん(商品開発G)、浜村隆さん(ビジネスフロー革新部)

4ninnsyu.jpg